新体制7期目 矢作建設 8月27日 (2019.08.26)
踊り場でもポジティブ
名古屋中心部に主な再開発案件山積
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矢作建設工業(1870)は踊り場。1Q連結減収減益。概ね計画線上だ。直前期、大型案件が一巡し端境期。次の足場を固める場面。新中期計画によるもので、連結売上高1000億円、営業利益70億円、ROE8%(2020年度)が目安だ。建設エンジニアリング(問題解決)、事業ポートフォリオ(組み合わせ)、働き方改革を具体的なテーマに資本政策の強化を目指す。前回述べたように、名鉄(9048=筆頭株主)グループの新中期計画と連動。同グループ長期ビジョン2030を視野にビルドアップ。ポスト五輪に備える構えだ。大手ゼネコンも1Q踊り場。五輪を巡る会場整備や都市再開発など一巡し、今後米中・日韓対立、香港デモなど景気減速の影響が表面化。人件費や資材値上がりも工事採算を圧迫しそうだ。しかし、受注残豊富。収益計上が進行基準のため終盤の設計変更や追加工事も見逃せない。同社の場合、1Q 連結受注高191億円(23%増)、同受注残123億円(18%増)。販売用不動産162億円(前期末181億円)、短期借入金128億円(同178億円)から回転が利いている。ひところピーク300億円の不動産在庫に対し様変わり。63年続いたオーナー経営を軌道修正し、顧客本位・施工力向上を打ち出した新体制7期目。5月14日、70周年記念式典で現状報告と対処すべき課題が伝えられた。事実、名古屋中心部の主な再開発案件山積。2016年大名古屋ビルヂング、17年JRゲートタワー・JPタワー名古屋・グローバルゲート、18年金シャチ横丁・御園座オープン。21年錦2丁目7番第一種市街地再開発、22年東桜1丁目1番地区開発(住友商事ビル跡)、24年新中日ビル・錦3丁目25番地区開発(大丸松坂屋新ビル)、27年名鉄名古屋駅地区再開発。以後、丸栄跡地再開発。「ささしまライブ」も名古屋駅とつかず離れず次の一手が注目される。名古屋全体の地価が東京23区の4分の1。最高値の区で5分の1といわれ、25年大阪万博後人気集中も考えられる。名鉄が2017年4月に全長400mの「名古屋駅再開発」を発表して2年余り。懸案の4線構造切り換えや近鉄、JR、地下鉄乗り換えなど名古屋市が中心になって大改造計画進めている。五輪後に行き過ぎた建設コストの反動も予想され、名古屋案件が見直される公算大。同社は地域指折り。あらゆる場面でタフでないともたない。
2020年3月期(連結)は、売上高900億円(3.0%減)、営業利益65億円(15.6%減)、経常利益同(16.1%減)、純利益45億円(0.5%増)と従来通り。4円増配し32円配当(中間16円)の予定。設備投資5憶8000万円(前期33億9200万円)の計画。一段と締まっている。4月1日マンション購入に伴う説明業務のスタイルリンク(東京・中央区)を約2億円で買収。施工後、迅速な顧客対応に貢献している。慎重に物事を運ぶ年で内部固め。名鉄と同運で興味深い。高柳社長(57)が上昇運で来年後半ステップアップ。未曽有のビジネスチャンスだ。踊り場でもポジティブな印象で心地よい。