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企業レポート

次の足場固める 矢作建設 3月28日 (2019.03.27)

スキルアップに拍車 
名鉄の名古屋駅再開発計画が目玉
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 矢作建設工業(1870)は確り。年度末追い込み計画線上。次の足場を固めている。新中期計画によるもので、旧計画(営業・経常利益3期連続ピーク更新)の反動を吸収し、ギアを一つ上げた水準。建設エンジニアリング(問題解決)、事業ポートフォリオ(組み合わせ)、働き方改革を主要テーマに資本政策の強化を目指す内容。連結売上高1000億円、営業利益70億円、ROE8%(2020年度)が目安だ。名鉄(9048)グループの新計画と連動し、逐一ビルドアップ。27年リニア開業(予定)、同グループビジョン30年に備えるもの。名古屋駅再開発計画を目玉に最大のビジネスチャンスとみられる。1941年同駅開業以来のプロジェクトで、2017年3月末発表され22年度着工といわれる。しかし、3月25日明らかになった同グループの設備計画には新型車両のほか施設・設備関連や名鉄名古屋駅2面4線(従来3線)が見られる程度。総工費2000億円と伝えられ、22年から5年で完成すると考えにくい。地権者の名鉄、近鉄グループHD(9041)、三井不動産(8801)、日本生命と調整難航。JR東海や地下鉄、近鉄、サンロードとも隣接し、機能にデザイン、コスト、建て替え中のオフィス移転などついて回り、2027年より大阪延伸37年説が飛び出す始末。2013年4月に完成した「グランフロント大阪」が前例。大坂梅田のJR貨物跡地再開発によるもので、拙速な計画や着工を見直す声が上がっている。新計画で建設、不動産事業にもエンジニアリングを推進。安心・安全確保を前提に規模拡大を目指す一方、いかなる場面にも収益を確保できるポートフォリオに取り組みビルドアップ。ピークに連結延べ1200人で1人1億円レベルの仕事が予想され、新年度から2期仕込み一色。天の時、地の利、人の和も結集している。最近、新東名御殿場インターチェンジやJR春日井駅前再開発など手掛け、工期が長い案件が増えたため消化も遅い。しかし、底堅い印象。働き方改革で2年前から図面の3D化に取り組んでいる。もはや、東京五輪(2020)や大阪万博(2025)にも馴染まない。リニア開業を巡り建設と不動産事業のかさ上げが焦点。名鉄グループ屈指のゼネコンだけに100%以上伸びしろがある。
 2019年3月期(連結)は、売上高920億円(0.4%増)、営業利益60億円(22.0%減)、経常利益同(22.2%減)、純利益40億円(2.1%減)と当初通り。配当24円(期末12円)を据え置く予定。昨年踊り場を迎え慎重に事を運ぶ場面。その点、高柳社長(57)が上昇運で心強い。数年後、様々な幸運が集中するという。地震工学技術研究所をエンジニアリングセンターに格上げ。耐震補強から一般建築・土木に広げた。分譲マンション開発に定評があり、名古屋市内のみならず首都圏でも取り組んでいる。グループ延べ1200人。一丸となって名鉄の再開発事業に取り組み、スキルアップに拍車がかかっている。

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