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企業レポート

縦横無尽の展開 一六堂 3月13日 (2019.03.12)

新たな一歩踏み出す 
功成り名を遂げ心機一転MBO
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 一六堂(3366)は堅調。前期、連結計画線を確保。新たな一歩を踏み出した。MBO(経営陣買収)によるもので、東証が3月19日付上場廃止(18日まで整理銘柄)を発表。最初で最後のビジネスチャンスだ。同社の場合、自分の代から新しい流れをつくる初代運。初代なら吉運といわれ、柚原社長(52)も同運。縦横無尽の展開が予想される。何より、本社(45坪)を含む八重洲口再開発(6000億円)がカウントダウン。今年1月から本組合により具体化。虎ノ門ヒルズ(255メートル)に肩を並べるもので、3年後着工といわれ天の時になった。買参権や上場を通じて地の利、人の和にも恵まれた経緯から、世のため人のためにやるほかない。2005年名証セントレックスに上場し、11年東証二部、12年東証一部に指定替え。連結売上高100億円、経常利益11億円(13年2月期)をピークに最近まで目標を見失っていた。条件に見合う物件がないため、出店を見送り既存店の収益力強化にとどまっている。日本フードサービス協会によると、外食産業の市場動向調査(2018年)で全体の売上高が4年連続前年を上回ったのに対し、パブレストラン/居酒屋に限って10年連続水面下。年度別でも、1992年度1兆4649億円をピークに2017年度1兆0094億円と3割強落ち込んでいる。同社の分析では、飲酒人口の大幅な減少、お酒の位置づけや企業文化の変化、規制の強化など相当なダメージ。今後人口減、若年層の飲酒減、主要顧客高齢化など頭打ちを見越したものだ。高度成長期のつぼ八や村さ来、養老乃瀧。バブル崩壊後モンテローザ、ワタミ、コロワイド。最近、鳥貴族の赤字転落など市場縮小に伴う業界再編のうねりに見合っている。同社にとって、首都圏主要ターミナル駅や山手線沿い主要駅など好立地の既存店。国内12漁港や大田・名古屋北部市場の青果物買参権など有力な経営資源。大田市場をはじめ青果物の買参権で子会社柚屋(ゆずや)の成長が将来を示唆している。10億円規模になり外販8割にのぼる。数年後、八重洲口に当該再開発ビルが完成すると「昼食難民」が殺到するといわれるほど。上場廃止後、短期的な業績にとらわれず、中長期的視点に立った構造改革や新業態の開発を行い、盤石な経営基盤を構築するという。同社の場合、客単価5000円前後の「天地旬鮮 八吉」でお馴染み。MBO後アップデートを見たいものだ。前期末61店舗(ピーク88)。さらに数店舗閉鎖を検討している。名古屋の4店舗が健闘しており、2027年リニア開業も手掛かり。MBOとはいえ、出光や大塚家具、廣済堂のように内紛がくすぶっているわけではない。持って生まれた初代運の会社。功成り名を遂げ、心機一転、MBOに頷いた。5GやIoTの時代にくつろぎをもたらしてほしい。 

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