今、来期が肝腎 東洋電機 11月13日 (2018.11.12)
増収減益の折り返し
半導体を中心に設備投資第2波
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東洋電機(6655)は一服。連結増収減益の折り返し。採算が悪化した。5月7日(前期)と11月6日の修正発表に共通するもので、設備投資が踊り場を迎えたとみられる。ゴルディロックス(適温相場)の末に景気が伸び切った上、米中対立に伴う関税引き上げの応酬も見逃せない。6月以降、国内でも影響が出始めた。日銀の短観予測調査によると、大企業が設備投資計画を製造業・非製造業ともに小幅下方修正。全体で横ばいにとどまり、受注繰り延べや価格競争のほか素材、物流、人件費の上昇など吸収が困難になっている。同社の場合、受注がたっぷりあり通期でも増収だが、中国・南京とタイ・バンコクの連結子会社を結び採算の確保が不可欠。後半、踏ん張りどころだ。エンジニアリング(2Q連結累計2.5%増収)、変圧器(同26.1%増収)、海外制御装置関連(同7.7%増収)が健闘している。6日米中間選後、月末の米中・米露首脳会談が後半を左右すると考えられ、年明け対米TAG(物品貿易協定)や対中外交も新たな手掛かり。先行き輸出が伸び悩み、設備投資の落ち込みを予想する向きが多い。このため、国内制御装置関連中心に優先度の高いテーマをリストアップ。研究開発に意欲的だ。研究で自走台車、非破壊試験装置、ギガビット自由空間光伝送装置。開発でも多機能(光電波)リモコン、高速空間光伝送装置、高周波変圧器など焦点。4月に研究開発力と販売品目拡充に向け、四国総合研究所(四国電力のシンクタンク)と業務提携を発表した。2013年2月、同研究所の「openATOMS」に関する契約と同社の「MAGICBEE」(無線監視システム)開発、製品化が前例。太陽誘電(6976)と共同開発した高速水中可視光通信装置も一例。自前主義から提携に軸足を移した。シェア70%といわれるエレベータセンサをはじめ、安心・安全を支える技術がベース。売り上げ規模拡大、生産性向上とキャッシュフロー改善、技術と開発、人財育成と環境改善。さらに、震災等緊急事態に備えBCP(事業継続計画)に基づきBCM(同マネジメント)も喫緊の課題。踊り場をこなしパワーとスピードをつけるのが狙いだ。主力の神屋(かぎや)工場LED照明化事例が紹介される一方、物体検知AIを活用した搬送システムを他社と共同開発するなど材料豊富。松尾社長(45)自ら変わろうとしている。10年後でも50代半ばに過ぎずこれからだ。
2019年3月期(連結)は、売上高86億5700万円(1.2%増)、営業利益8000万円(71.1%減)、経常利益1億5000万円(56.0%減)、純利益1億1000万円(51.3%減)に見直した。配当24円(期末12円)を据え置く予定。設備投資2億2600万円(前期2億9800万円)の計画。乗り切ると面白い。戦後のクライマックスと考えられ、マクロで半導体を中心に設備投資第2波が予想される。