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企業レポート

スタート計画線 矢作建設 8月28日 (2018.08.27)

ギア上げた新中期計画 
グループ挙げてエンジニアリング
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 矢作建設工業(1870)は高水準。1Q連結64.5%営業増益。計画線という。進行基準によるもので、前期大型案件が一巡し端境期。新中期計画の仕込みが始まった。建設エンジニアリング、事業ポートフォリオ、働き方改革を主要テーマに資本政策の強化を目指すもので、連結売上高1000億円、営業利益70億円、 ROE8%(2020年度)が目標。前期旧中期計画を達成し、営業・経常利益5期連続ピーク更新しただけに、ギアを一つ上げた印象。筆頭株主の名鉄(9048)が進める名古屋駅再開発計画を目玉に脱皮しきりだ。グループ挙げて建設・不動産事業にエンジニアリングを推進。事業規模の拡大を目指す一方、いかなる場面にも収益を確保できるポートフォリオの追求が狙い。公共事業と一線を画した2003年から15年。一世を風靡したピタコラム工法(制振ダンパーを利用した耐震補強工法)がブレイクスルーの口火。文科省の2015年小中学校耐震化100%に呼応。やり切ったことで知られる。学校のほか病院・警察署など公共施設、08年立ち上げたウッドピタ事業を通じて一般住宅にも浸透。愛知県長久手市の地震工学技術研究所をエンジニアリングセンターに改称し、耐震補強から一般建築・土木にシフトした。10年後リニア時代を迎え名古屋駅再開発計画が具体化するだけに時間との闘い。2015年取締役最年少でトップになった高柳社長(56)の真骨頂だ。技術に明るく現場や営業経験が豊富なためで10年後も60代。最近イケアジャパンやレゴランド(メイカ―ズ・ピア)、JR春日井駅南東地再開発、三菱商事インドネシア現地法人に16億円出資など案件拡大。スケールアップしている。今回業界の東京五輪特需にしても、1998年長野冬季五輪で受注をさらった北信の北野建設(1866)が10、20年後後塵を拝した南信駒ケ根のヤマウラ(1780)に及ばない。前期の連結営業利益率によると、北野5.83%に対しヤマウラ7.34%。同社は8.38%で高い。一口でいえば、エンジニアリングによるもの。03年から15年公共工事と一線を画し、ステークホルダー(利害関係者)が知恵を出し合う「デザインC」の積み重ね。前中期計画の過剰達成や新計画のギアチェンジに顔を出す。働き方改革についても、作友会やロボット計測機など動員し2022年といわれる本番に備えた。
 2019年3月期(連結)は、売上高920億円(0.4%増)、営業利益60億円(22.0%減)、経常利益同(22.2%減)、純利益40億円(2.1%減)と従来通り。配当24円(中間12円)を据え置く予定。設備投資9億円(前期44億6600万円)の計画。6月28日の株主総会よし。前向きな雰囲気で何よりだ。8月19日、OCA(アジア五輪評議会)がジャカルタで2026年アジア大会を愛知県で開催する旨発表したものの動意薄。新計画初年度の目標を徹頭徹尾やり切る構えだ。前回述べたように、会社が名鉄と同運で興味深い。今年起きることが数年後の幸運につながるという。社長の上昇運も心強い。値千金の1年になりそうだ。

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