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企業レポート

吹っ切れた新年度 大宝運輸 6月26日 (2018.06.25)

オンリーワン目指す 
次の100年の仕込み急ピッチ
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 大宝運輸(9040)は出直し。1Qあく抜け。通期小確りの見通し。小康を取り戻した。長時間労働に伴う愛知労働局長の是正指導に一定の評価。その後も取り組みを継続し法令・改善告示基準を遵守。前年度末を助走に新年度吹っ切れた。「社名公表」が一罰百戒。ステークホルダー(利害関係者)に浸透している。法令違反を解消しても問題解決にならず、懸案の料金改定や人員不足、燃料価格上昇など課題山積。残業短縮により収益が落ち込んでいるためだ。全日本トラック協会の景況感によると、1~3月期△3.0(前回2.2)に対し、4~6月期△7.3に悪化。米国が鉄鋼やアルミに続き自動車関税引き上げを迫る現状で何ができるか肝腎な場面。2年後創業100年を迎えるだけに、昨年11月愛知県東郷町に取得した約7億円の土地(3800坪)が新たな手掛かりだ。次世代をリードする物流のハブ拠点といわれ、上場後新設した三好支店から20年ぶり。4年前の統廃合で9支店に集約し次の100年に向けた戦略基地とみられる。アップデートに物流をさばく一方、商品の様々な温度管理を可能にするもので、衣食住にエネルギーを加味した構想。オンリーワンを目指すという。ちなみに、同社は規模で全国一般貨物輸送事業2万5941社中231位。愛知県1650社中23位。ともに1.4%で100に1社のレベル。100年続く会社が0.3%(2万6000)にとどまり物流に限ればもっと少ない。過日、大手自動車部品メーカーの安全推進部から電話があり、通勤途中で見かける同社のトラックがどの車両も安全運転。教育内容に問い合わせがあったという。43年前、日本一事故が少ない会社を目指し安全活動を始めた経緯。安全活動三つの意義、社員七則が制定され教育立社に至る顚末も興味深い。現在、主要取引先220社。是正指導を受け取引停止になった例がなく、条件の変更や見直しを持ち掛けるケースが多い。幹部が粒ぞろいで頼もしいが、社員の高齢化(前期末平均45.6歳)に伴い次世代の後継者とインフラ構築が不可欠。業界で100に1社の存在なら、100に1人の担い手も合理的。東郷の戦略拠点立ち上げを通じてパワーアップが見込まれ、一連の仕込み急ピッチ。是正指導によるピンチを乗り越え、数年後チャンスをつかみそうだ。旧三越やアマゾンのちゃぶ台返しで生まれ変わったヤマトHD(9064)が先例。大手取引先がびっくりしないと始まらない。
 2019年3月期(非連結)は、売上高84億5000万円(0.6%増)、営業利益3億円(46.5%増)、経常利益同(29.0%増)、純利益1億7000万円(32.3%減)の見通し。配当100円(中間50円)の予定。交通事故5件(前期12)、労災事故1件、商品事故半減が目安。小笠原社長(50)の祖父が21歳で創業。2020年(創業100年)が節目。10年越し、次の100年の仕込みが始まった。

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