渾身の折り返し 福島印刷 4月10日 (2018.04.09)
10年の仕込みが浸透
業界で売上高5年連続ピーク更新
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福島印刷(7870)は胸突き八丁。渾身の折り返し。テイクオフ目前だ。5期連続増収によるもので、通販をはじめ販促関連のDMDPサービスが区間新。19億5600万円(14.8%増)計上し、事務通知関連のIPDPサービス6億8400万円(0.5%減)を圧倒。ビジネスフォーム5億5100万円(4.8%減)、企画商業印刷1億8300万円(6.2%減)の落ち込みを吸収している。2006年から08年にかけて本社隣接地に第2工場棟を増築。高速8色輪転印刷機を導入したほか、同工場2階を改装し高速インクジェットプリンタ設備を投入。10年余りでDPサービスの足場を固めた。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の市場拡大、アップデートの外部委託にこたえるもので、直近10年「パックサービス」でリード。複数のDM企画をまとめ生産するスピードや開封トラブルに強く、後糊方式の評価が高い。2015年から3期追加投資に踏み切り、規模拡大に伴う人件費・償却負担増と綱引き。能力増強とシステム投資が一巡し、営業、設計、人材育成など生産向上に意欲。創業90年を数え、100年の助走とみられる。IoT革命に対応するもので、直近5年活版、オフセット、グラビアなど業界横ばいといわれる中で着実な伸び。前期、月平均の個人情報取扱件数が2825万件と6年で倍増。さらに処理能力を上げ4500万件が視野に入った。リーマンショック前、売上高57億9800万円、営業利益2億6500万円(08年8月期)で頭打ちとなり、10年の仕込みが浸透。脱皮しきりだ。15年6月廣済堂(7868)と業務提携具体化も新たな手掛かり。金沢・さいたま両工場が補完関係にあり、廣済堂が昨年10月本社移転に踏み切り本気。3年後10億円レベルになると申し分ない。2月の豪雪で一時物流が混乱したものの大過なし。2015年北陸新幹線が開業し、金沢に日本人のほか外国人が予想以上に増えたという。このほか、3月に日本郵便主催の第32回全日本DM大賞。昨年集英社とのコラボに続き岡山の両備システムズと組み銅賞を連続受賞した。 同社の場合、今年起こることが数年後の幸福につながる社運で興味深い。下畠社長(62)も同運で後半楽しみだ。中間の営業利益9500万円(5.9%増)に過ぎないが、償却3億5300万円を加味すると相当なもの。期末に上方修正するケースが多い。
2018年8月期(非連結)は、売上高70億7600万円(2.7%増)、営業利益1億3000万円(68.3%減)、経常利益1億4200万円(65.9%減)、純利益9000万円(69.5%減)の見通し。配当10円(中間5円)の予定。設備投資5億6300万円(前期11億5500万円)の計画。印刷業界で売上高が5年連続ピーク更新。ものによると、増配も考えられる。