連結最高益続く 岡谷鋼機 4月4日 (2018.04.03)
さらに10円増配表明
東京五輪後リニア開業が手掛かり
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岡谷鋼機(7485)は好調。採算一段と好転。連結最高益が続く見通し。地政学リスクを加味したもので、2年ぶりDIが悪化した日銀短観(3月)然り。3ヵ月後もそうで、一連の貿易摩擦を巡る跳ね返りを織り込み続伸。さらに10円増配を表明した。市場が2月からゴルディロックス(適温)相場の反動で調整を迎えたものの、実体経済の影響が事実上金利と為替にとどまり、建機や工作機械、自動車など受注に生産が追いつかない状態。このため、米鉄鋼関税引き上げにも動じない。前期、鉄鋼をはじめ情報・電機、産業資材、生活産業そろって増収増益。今期、当初掲げたGih-2020(連結売上高1兆円、純利益200億円、海外取引35%以上)の軌道に戻す構えだ。リーマンショックから10年。さんざん懸念材料を消化しただけに、今後も不安を吸収できる印象。1995年の上場をきっかけに10年刻みで力をつけた。2019年が創業350年に相当し、20年の東京五輪後27年リニア開業(品川~名古屋)も新たな手掛かり。絶好のポジションとみられる。昨年4月JRゲートタワー、同10月ささしまライブ開業を口火に地元名古屋中心部の再開発が本格化。EVや自動運転、MRJなど自動車・航空にエネルギー、金融までビジネスチャンス。次世代のプロジェクトが山積している。足もと人手をやり繰りしているが、AI やロボット、IoTなど最先端の人材が決定的に足りないという。今期、グループ一丸となった教育制度改革や人材確保が課題。中期計画(Gih-2020)にも海外取引拡大、技術革新、人材育成三つの柱を束ね精力的。むしろ、心配ごとがないのが心配だ。その点、昨年暮れ伝えられた中村鋼材(東京都中央区)の鉄鋼事業子会社化が一例。3月に事業分割して新会社を立ち上げ同社が97%出資。顧客を受け継ぎ地道な取引拡大につなげた。今期の連結売上高予想によると、鉄鋼3790億円(7.6%増)、情報・電機1970億円(6.5%増)、産業資材2850億円(10.6%増)、生活産業590億円(4.5%増)の見込み。新分野進出が目立つ一方、子会社(2社)統合や地域貢献、義援金など話題に事欠かない。およそ10、20年先取りしている。
2019年2月期(連結)は売上高9200億円(8.1%増)、営業利益200億円(11.0%増)、経常利益230億円(2.6%増)、純利益170億円(12.9%増)の見通し。配当200円(中間100円)の予定。設備投資39億円(前期28億3700万円)の計画。償却(前期38億円)に見合うもので今後増加が見込まれる。来年から上昇運。未来に向け挑戦する位相。社長(73)も同運で拍車がかかりそうだ。5月24日付で鉄鋼担当の岡谷健広常務(たけひろ=44)が営業部門管掌補佐の専務取締役に昇格。次世代の幕が開き始めた。今期締まると来期から見ものだ。