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企業レポート

4Q 強含み 中部鋼鈑 2月27日 (2018.02.26)

現場と中長期二段構え 
100年企業踏まえ高炉から電炉 
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 中部鋼鈑(5461)は堅調。3Q連結累計29.5%増収、15.7%営業増益となり4Q強含み。新年度を織り込み始めた。昨年10月19日の上方修正より前向きな印象。1月23日東京製鉄(5423)の3Q発表とトヨタ(7203)の鋼材価格2018年度上期横ばいを加味したもので、1月の粗鋼生産量903万トン(0.3%増)が3ヵ月連続前年を上回り、高炉693万トン(1.6%減)に対し電炉209万トン(7.1%増)も手掛かり。その後、鉄スクラップ値上げ一服から踊り場とみられ、目下現場と中長期二段構え。原油や鉄鉱石など一次産品スーパーサイクルの反動と日本の人口動態を踏まえ、やがて「都市鉱山」と同様に高炉から電炉の時代がやってきそうだ。2020年東京五輪や27年リニア開業、同大阪延伸など国内需給がいいだけに、10年スパンで2050年(創業100年)を視野。創業68年を数え事業が収斂した現在、研究開発費の増額や大学などと共同開発。製販一体の営業活動。操業の改善を含め継続的な取り組みや省エネ投資など基盤強化と顧客対応力の拡大に意欲。ベトナム孫会社(2016年10月営業開始)のエンジニアリング、増築した倉庫(17年3月)の物流、洗浄工場(18年夏本格稼働の予定)更新に伴うレンタルなどサブコア事業も具体化。創業60年から第2の創業機運がみなぎっている。国内唯一の厚板專業大手として最大級の200トン電炉や世界的にユニークな製鋼・圧延直結による連続鋳造設備が決め手。電炉は1962年導入したもので、当時米国6基、ベルギー1基しかなく今も現役。小ロット・多品種・短納期生産に徹し、被削性改良鋼板やレーザー切断用鋼板などオリジナル製品、高品質な製品を安定供給。耐塩酸・硫酸性合金鋼板、ハイテン(高張力鋼板)でも知られる。2004年から08年にかけて米国サブプライムバブルと中国の工業化に伴う一次産品のスーパーサイクルにより収益と財務がダイナミックに好転。リーマンショック10年で設備一新、無借金。見違える体質に生まれ変わった。昨年6月から重松社長(61)中心に新体制。現場と中長期二段構えでダントツの収益改善に着手。すでに販売量60万トンの中期計画(2015~17年度)をとらえ、近い将来70万トンが見込まれる。
 2018年3月期(連結)は、売上高464億円(27.7%増)、営業利益39億円(26.2%増)、経常利益39億円(28.2%増)、純利益26億円(27.6%増)に見直した。4円(当初1円)増配し19円配当(期末10円)の予定。設備投資20億円(前期23億4100万円)の計画。東鉄のほか新日鉄住金(5401)も強気。世界の鋼材やスクラップ、原料炭市況など見越したもので品質管理を強化するという。同社の場合、東海地区最初の鋼板メーカーとして適正規模に収斂し、10年来体質改善が顕著。いい会社になった。今後10、20年、次世代の人材を育て品質、価格競争力を強化。IoT時代を迎え再びインフラを一新すると、次の100年の呼び水。会社が来年から上昇運。社長は今年起きることが数年後の幸福につながるという。願ってもない1年を迎えた。

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