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企業レポート

並み外れた底力 文溪堂 12月27日 (2017.12.26)

講座後押し連携に新風 
学習指導要領改訂を通じて次の幕 
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 文溪堂(9471)は好調。3期ぶりピーク更新の折り返し。次期学習指導要領改訂を先取りしている。小学校2020年(移行期間18~19年)、中学校21年(同18~20年)全面実施に備えるもので、2Q連結累計に1・2学期品や上下刊品、年刊品の売上高を計上するため、後半小学校20%と中学校30%の編集費を加味しても増益。慎重だけに上方修正の公算もある。学習者のほか指導者、保護者など教育現場のニーズにこたえるもので、数年前から算数好きな子どもを育てる授業実践講座(17年全国11都市)を後押し。8月に岐大教育学部、羽島市と連携し地元の学力向上に関する協定を取り交わすなど新風を吹き込んでいる。ゆとり教育の反省や学力テスト10年を振り返るもので、詰め込みから生きる力に転換した現場の戸惑いが主因。子どもを将来貧困から守るのに能力の見直しが必要で、昨年8月閣議決定した安倍政権の働き方改革につながる。20年度以降、大学入試改革に直結すると考えられ、多様な進路や偏差値で見抜けない適性など従来なかった授業が生まれた。随行すると、出版や教材・教具など何が必要かよくわかる。OECD72カ国が参加したPISA2015によると、義務教育終了15歳を対象に、ゆとり教育を修正した日本が科学的リテラシー2位、読解力8位、数学的リテラシー5位。人口1億人以上の国でトップクラス だ。しかし、平均で優秀な日本人が今後世界で通用するとは限らない。15歳で学力テストが指折りでも、20歳過ぎればただの人。フランスの場合、正解のない教育を受けているという。先進国であると同時に農業国で欧州切っての食糧自給率。農産物や同加工品の貿易黒字が輸送機器の次に大きい。米国のような若造の国でないという。同社の場合、1789年のフランス革命から111年、寺小屋をルーツに1900年創業。2020年に120周年を数える。一貫して初等教育に携わり、小学校1年生が1955年250万人をピークに2016年105万人まで落ち込む中で連結売上高ピーク更新。並み外れたものだ。2Q連結累計でも出版9.6%営業増益、教具20.3%同増益に底力がうかがえる。何より、2017~18年北は札幌から沖縄まで授業実践講座が引っ張り凧。算数のほか他の科目を刺激しそうで興味深い。おのずと出版や教材・教具に跳ね返り活性化。指導要領改訂を通じて次の幕が上がりそうだ。
 2018年3月期(連結)は、売上高116億9500憶円(0.2%増)、営業利益6億2700万円(5.6%増)、経常利益6億3900万円(2.3%増)、純利益4億1300万円(1.8%減)と従来通り。配当23.5円(期末11.75円)の予定。単独配当性向40%が目安だ。12月26日の時価総額63億円(連結純資産132億円)。明らかに割安だ。持ち直した学研HD(9470)同512億円(同362億円)、学究社(9769)同181億円(同33億円)に比べ歴然としている。18年、社運好調でこれまでの苦労が報われるという。現在最強のメンバーとみられ、10年後、水谷泰三社長(60)の時代本格化。明日からの授業づくり実践講座と岐大・羽島市と連携した協定の解も出る。願ってもないポジションにつけた。

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