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企業レポート

18年強運の1年 サンゲツ 12月26日 (2017.12.25)

東南アジアにも橋頭堡 
グローバルな市場拡大に備える 
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 サンゲツ(8130)は連結踊り場。基盤整備と事業再構築半ば。後半に入った。新中期経営計画「PLG2019」(3年)によるもので、前半3年仕込みに対し仕上げの場面。12月20日、シンガポールの「グッドリッチ」連結子会社入りを発表。日本、米国、中国のほか東南アジアにも橋頭堡。目下、国内で壁紙の大型物流施設集約を進め、来期中に基幹システムを更新する見込みだ。国内をはじめグローバルな市場拡大に備えている。PLGはパーソナル・ローカル・グローバルの頭文字。一人ひとりプロになって取引先と人間関係を築き、各地域、世界規模で多種多様なインテリアの提案を行う次世代の成長循環。創業1849年から約100年、設立1953年から約60年オーナー経営を踏まえ、2014年から約10年で第3の創業本格化。三菱商事から安田社長(67)を迎え、社員が経営を担う真の上場企業を目指す。この間東京五輪、リニア開業を目玉に世界的なインフラ再構築など手掛かり。リーマンショックから約10年金融緩和、来年から賃上げや設備投資を促す米国と日本の大幅な法人減税も支援材料。強弱感が対立する中で意外なビジネスチャンスに恵まれている。
2Q連結累計16.2%増収、21.5%営業減益、19.9%経常減益、29.1%減益の折り返し。新たに連結入りした米コロシールとフェアトーンの影響から売上高と販管費が増加したもので織り込み済み。むしろ、計画より0.7%増収、7.5%営業増益になった。見本帖の集中発刊や値上げ、物流増、拠点間輸送開始など初期費用が多い。11月1日、インテリア事業の平均単価下落により粗利が見込みより低下。コロシールが計画を下回るとみられるなど通期見直した。住宅着工が2015年度4.6%増、16年度5.8%増にひきかえ、17年度1.3%減(4~10月)に落ち込み、3、4Q 材料難。リフォームや新設非住宅に多くを望めないのが現状。チョークで自在に描き消しできる黒板のような壁紙、カーペットと硬質床材の特徴を兼備した繊維系床材「FLOTEX」がともに17年グッドデザイン賞を受賞した。「サンゲツ壁紙デザインアワード2017」は「壊せ、壁紙の壁」をキャッチフレーズに開催。大賞、優秀賞、入賞、奨励賞のほか社員賞も設け、まさにデザインアワード。受賞作品、総評をネットで公開し、時代のしぶきがうかがえる。2014年、オーナーが潔く経営から身を引く一方、元社長に請われ12年に社外取締役に就任した安田氏が新社長。タイムリーに後継者が決まった。安田氏の運命が社運と重なるのも事実で、ともに18年強運の1年。翌年も運気好調である。
 2018年3月期(連結)は、売上高1560億円(15.0%増)、営業利益61億円(19.4%減)、経常利益68億円(18.7%減)、純利益45億円(31.5%減)に見直した。2.5円増配し55円配当(期末27.5円)の予定。設備投資30億円(前期63億9000万円)の計画。のれん償却と基幹システム更新の踊り場。米コロシール(今期の売上高167億円の計画)にグッドリッチ(2016年12月期同約48億円)が加入し、中国と合わせ10~20年後海外事業の拠点が広がった。社長が12年社外取締役に就任して5年。10年を待たず第3の創業をリードする人材が育つと考えられ、その後10年全社員が経営を担う時がくる。オーナーも喜ぶに違いない。

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