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企業レポート

5年続く上昇運 矢作建設   12月20日 (2011.12.19)

耐震補強事業が代名詞

生きてくる今、来期の仕込み

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矢作建設工業(1870)は小確り。見込みより減収だが予想より増益の折り返し。3、4Qほぼ計画線という。減収はこれまで優先された学校耐震化がピークアウト。直近3期急伸したピタコラム事業一服によるもの。学校に限れば2011年度86%といわれ、今後警察や消防、病院など防災拠点や集合住宅等に広がる見込み。学校は都市部が一巡し、なお地方延べ2万3000棟が対象。ピタコラムは2Q連結累計105億円(37%減)の受注にとどまり、通期235億円(10%減)の見通し。筋交いのないセスレット工法、木質系戸建てウッドピタ工法も公的機関の性能評価を受けた独自の技術。厳格な公共施設の採用実績と被災地や重点地区の見学会を通じて仮説と検証が受注の手掛かり。ウッドピタは2Q連結累計倍以上、引き合い数倍という。しかし、100棟で2億円の世界。3・11震災をきっかけに足場を固め1000、1万棟も考えられる成長市場。大手4社にない技術だけに完成工事総利益率(前期連結22.5%)が高い。ちなみに4社レベル8%に過ぎない。来年後半から上昇運。5年続くだけに今、来期の仕込みがものをいいそうだ。分譲マンションを巡る持続的成長、リ・バース(生まれ変わり)マンションの取り組みも一貫している。前者は期末にかけて供給が急増し518戸(2.3倍)の予定。後者は1月に立ち上げたCUE(キュー)と呼ばれる中古再生事業。つき過ぎた付加価値の修正が課題というが、新築でも中古でもない次世代の市場に手ごたえ。エコやリサイクルの要請にかなう地域特性を把握したマーケティングとマッチングによるものだ。このほかゴルフ場コース管理、パンウォール・フィルオール・ハイブリットソイルミキサーなど新工法、名鉄の軌道や鉄道関連工事にも精通。04年の愛知万博以降、デザインCの浸透が受注確保、完成工事総利益率の改善につながっている。

2012年3月期(連結)は、売上高670億円(9%増)、営業利益39億5000万円(11%減)、経常利益34億円(同)、純益16億円(17%減)に修正なし。配当は14円(期末7円)を据え置く予定。むしろ、リーマンショック直後の09年(60周年)が吹っ切れた印象で心地よい。耐震補強事業が代名詞になっているためで、70周年にかけて次の山が見える。来年2月復興庁設置が決まり、消費税引き上げも時間の問題。今、来期の仕込みが生きてくる。19日391円で引けたが、半年ないし1年後が楽しみだ。

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