じわり堅調 中部鋼鈑 12月15日 (2011.12.14)
消えた需要が姿見せる
マイナスとマイナスでプラス
中部鋼鈑(5461)は堅調。じわり締まっている。震災後落ち込んだ需要が予想以上に回復。直近反転したスクラップに対し、来年1~3月先安感が出ているためだ。復興需要がずれ込んでいるとみられ、リーマンショックと震災を通じマイナスとマイナスでプラス。生産性が上がりコストが下がった。09年から延べ100億円投入して本社工場の大型設備を一新。品質向上、省力化のほか製品領域拡大、スケールメリットにも足がかり。工場屋根約500㎡の太陽光パネルが年間5万キロワットの能力を持つ補助電力になった。04年3月期から5期連続記録的な好決算。一途なマーケット対応によるもので、2010年(60周年)を境に一皮むけた印象。消えた需要が姿を見せた。厚板専業で全国シェア3.6%、第6位(2010年度)の規模だが、数量や品質、コストなど提案力の時代。原料鉱石の制約からも電炉が高炉と肩を並べる時とみられる。事実、前期の数量51万トンに回復。今期前半4.9%増で折り返し足もと堅調。依然東鉄が製品、スクラップ市況の前衛だけに落としどころもわかるようだ。これまで震災特需1000トンの模様だが、本格化に時間がかかるという。前期の受注を見ると建機・産機63%、土木・建築が23%を占め、全国の構成では造船が過半だけに小回りの利く展開。製品、スクラップ挙げて迅速なマーケット対応が決め手になっている。
2012年3月期(連結)は、売上高481億円(16%増)、営業利益20億円(40%増)、経常利益21億円(39%増)、純益12億円(28%増)の見通し。配当は10円(期末5円)の予定。10月26日の修正発表によるもので、増益にかかわらず見込みより減収だけに慎重。円高の長期化に伴い輸入材の増加が気掛かりという。社運によると、来年安定運。次世代投資が一巡し脇を固める場面。もうひと山見える。14日398円(1株当たり連結純資産1684円)で引けたが、3Q発表(前期1月31日)が気になるところ。年明け波乱も考えられるが、それなりに対応できる。