大幅に採算改善 一六堂 3月14日 (2017.03.13)
前期やり切った印象
天与のチャンスにこたえる責任も
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一六堂(3366)は調整一巡。反転のきっかけをつかんだ。傾注した店舗、料理、ドリンクなど質的見直しによるもので、前期閉店10を数えやり切った印象。採算が大幅に改善している。連結売上高の過半を占める八吉、のど黒屋、老舗屋がリード。八吉酒場、ビアレストラン、牛たん焼きなど各業態も追随。店舗で圧倒する銀座(12)と新橋(7)、八重洲(13)の健闘が目立つ。前期末69(ピーク84)までしぼった。2020年東京五輪、直後の八重洲再開発(23年度まで50階建て規模2棟)。さらに、27年リニア開業(品川~名古屋)を視野。このうち、現地調査の終わった八重洲再開発が同社グループの本社(敷地約45坪)再構築に直接影響し最大のビジネスチャンス。願ってもないポジションにつけた。2月27日発表された日本フードサービス協会の調査によると、1月も居酒屋業態の売上高93.9%。店舗数95.2%、客数94.8%、客単価99.0%と水面下。店舗、宴会減が尾を引いている。パブレストラン居酒屋で見ると、8年連続マイナス成長。国内店舗が20~30%過剰という。業界では鳥貴族とワタミが明暗を分け盛衰を物語っている。同社の場合、全国12漁港の買参権や大田・築地青果・名古屋北部市場など青果物の直接買いつけで異色の居酒屋チェーン。05年4月名証セントレックスに上場し、12年12月東証一部に駒を進めた正統派。質にこだわり三方よしの社風。これが東京五輪、八重洲再開発、リニア開業の幸運を呼んだ。今どんなに不安でも光明が見えるし、天与のチャンスにこたえる上で責任もある。このため、新年度以降強含み。連結増収増益の見込み。旧聞だが、1月16日ビール大手5社が2016年の出荷量4億1476万ケース(2.4%減)と発表。12年連続過去最低を更新したものの動じない。高単価の規模が小さいといわれる外食市場で、価値や品質を下げお客に見放されると立つ瀬がない。1年40~50万匹といわれるのど黒の仕入れを巡って山口漁港に協力を仰ぐ一方、100%子会社の柚屋(ゆずや)が青果物仕入れで8~9億円規模に成長。外販70%にのぼり利益を出しているのが心強い。野菜のおいしさが魚の味もひきたてるためだ。
2017年2月期(連結)は集計中。3Q累計売上高67.8%、営業利益43.8%の進捗率で計画線。4月13日発表の予定だ。配当10円(期末5円)を据え置くとみられる。労働需給逼迫に伴う人手不足に対し紹介が定着。いい結果が出ているという。年間延べ1200人動員されるアルバイトの3分の1が交代するだけに大きい。関連コストが予想以上に改善した模様。主要顧客が金融(不動産)やゼネコンといわれ単価が上がっているのも特徴。築地市場の豊洲移転などこたえていない。前期もつ専門店を閉めすっきりした。今年も上昇運でステークホルダー(利害関係者)の支持拡大によるもの。柚原社長(50)は春先の印象。今年頑張ると来年結果が出るという。