正念場で異彩放つ 岡谷鋼機 1月1日 (2016.12.30)
航空・宇宙分野に道筋
全員参加の新中期計画に追い風
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岡谷鋼機(7485)は正念場。3、4Qターニングポイント。昨年11月流れが一変した。米大統領選を境に株高、長期金利上昇、ドル高など今年を先取りする動き。欧米や日本の金融緩和が限界に達し財政主導に政策転換。デフレからインフレの潮目に入った。紛れもなくビジネスチャンス。
今後フランスとドイツの国政選挙が後押し。2Q連結累計12.4%減収、32.3%営業減益で折り返したものの3、4Q追い風に変わりそうだ。原油をはじめ株、金利上昇に円安がもたらすもので、いずれ鉄鋼(前期連結構成比40.7%)、情報・電機(21.2%)、産業資材(30.3%)、生活産業(7.8%)そろって増収が見込まれる。米国の予算執行が10月以降で期待先行の反動を踏まえたもの。新中期計画Gih-2020(2016~20年度)がスタートした矢先、上期連結7期振り減収(5期振り営業減益)になったが、昨年12月27日発表された3Qを踏まえ反転を期待できる情勢になった。いち早く伝えられたのが航空・宇宙及び防衛分野の品質マネジメントシステム(JISQ9100:2009)認証取得。日本で制定された世界標準の規格で米国や欧州の企業に対しても有効。地元で成長が期待される航空・宇宙分野の取扱拡大に道筋をつけた。名古屋本店特殊鋼部と大阪産業資材部神戸出張所が対象で現在14人の規模。取扱高が気になるところだ。昨年11月11日登録され10、20年後の布石を打った。新中期計画で連結売上高1兆円、純利益200億円(2020年度)を表明。成長市場、先端商品・技術への挑戦をはじめ6つの事業戦略に対し、売り上げより中味、より具体的な結果を求めており、全員参加でつくり上げただけに各自責任もある。トヨタ(7203)が昨春導入した社内カンパニー制で製品群ごと7つに仕切り、トップの専務が一つの会社の経営者のようにすべて統括。次の社長を模索に入ったのに似ている。トヨタ車体の社長が本体の専務を兼務しており本気だ。シンプルな試みに手ごたえ。エレクトロニクスが一歩リードの模様。4Qと来期の見通しもポジティブで悪くなると考えにくい。懸案のポーランドが黒字転換にあと一歩。前国王服喪で揺れるタイ全社黒字。トランプ新政権の関税がネックのメキシコに懸念している程度。2014年4月に加工食品販売のニシフミート(本社府中市))を買収し販路が広がったほか、昨夏宮城県で始めた松島トマトの出荷が生活産業部門の明るい材料。事業が暮らしに直結すると円くなること請け合いだ。先端商品・技術への挑戦に昨年6月「ウィンザ」(高精度3次元地図計測UAV)発表も語り草。地元のアイサンテクノロジー(4667)とプロドローンとのコラボで生まれた。2019年に創業350年を数える会社と思えない。リーマンショック直後に立ち上げた「プロジェクト本部」(現経営企画部プロジェクトチーム)が進取の精神をリードしている。2011年度から一部の若手社員向け3ヵ月の海外語学研修が始まり、現在では新入社員全員に同研修を必須とする制度として定着。正念場で異彩を放っている。
2017年2月期(連結)は、売上高7500億円(4.5%減)、営業利益140億円(14.1%減)、経常利益180億円(12.3%減)、純利益120億円(6.9%減)に見直した。配当170円(期末85円)の予定。設備投資30億円(前期53億円)の計画。昨年11月から上方修正も考えられる場面になった。2017~18年調整運で社長も同運だけに踏ん張りどころ。AIやロボット、IoTなど次世代をこなす上でビジネスチャンスを迎える。2027年リニア開業に伴う名古屋駅再開発もカウントダウンに入った。