第3の創業大詰め サンゲツ 12月6日 (2016.12.05)
世界の壁紙市場に提案
トランプ旋風の反動も覚悟の上
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サンゲツ(8130)は正念場。連結増収減益の折り返し。3Qから追い込みに入っている。年明け再構築した基幹システムの稼働を控えているためで、新物流システム導入、ショールーム3拠点新設など基盤整備急ピッチ。
2Q 連結累計7期連続増収(最高更新)だが、米国の壁紙最大手コロシール社買収、BPO(共通業務の外部委託)など費用先行。中期経営計画(2014~16年)最終年度第3コーナーにさしかかった。創業100年、設立60年を踏まえオーナー経営から脱皮。市場を起点に社員自ら経営を担う第3の創業大詰め。米大統領選を境にデフレからインフレの風が吹き始めた。大型減税、規制緩和、インフラ投資などトランプ旋風によるもので、長期金利上昇により利息が生まれ、逆回転していた経済が正常化。政府与党が11月29日、2017年度税制改正で住宅リフォーム減税拡充(耐久工事も対象)を固めたほか、翌日発表された10月の新設住宅着工8万7707戸(13.7%増)。貸家が3万9950戸(22.0%増)を占め8年振り高水準。約半年後、インテリアの受注が見込まれ追い風になった。前期、1年早く目標連結純利益63億円を突破。昨年後半から円高株安、マイナス金利が尾を引き、11月30日のOPEC総会で減産合意が伝えられたばかり。目下、新基幹システム立ち上げをはじめ基盤整備の仕込み80点という。大規模な株主還元策を口火にバリューチェーンと商品・機能の強化、地域的拡大(特に海外)を打ち出し成長戦略を明らかにした。トランプ旋風の反動も覚悟の上。仕事が壁にぶち当たった時、めいめい問題を解決するのが新体制の醍醐味。やり切るという。その点、壁紙の主要生産委託先に2割出資、中国現地法人「山月堂(上海)装飾有限公司」設立、米国コロシール社買収(約143億円)が画期的。日本から世界の壁紙市場を刺激するもので「日本流」を提案。逐一、世界シェア(国内4割強)を引き上げる構えだ。これに伴い床材、ファブリック(カーテンやクロス)など追随する運び。同社の商品点数約1万3000点とコロシール社の約1万2000点(壁装材)、単体の売上高1151億円(2016年3月期)に約148億円(15年12月期)を勘案しても和洋折衷。10年後、中国とアジア、北米や中南米にも市場拡大が見込まれ、創業から160年余りのビッグデータ、ディープラーニングが後押し。これまでにないポジションにつけた。今期は次の中期経営計画(2017~19年度)に備える発射台。年明け、事実上スタート。会社が14年から上昇運入り。安田社長(66)も同運だけに何も彼も加速している。
2017年3月期(連結)は、売上高1370億円(2.3%増)、営業利益80億円(12.2%減)、経常利益86億円(9.1%減)、純利益59億円(7.7%減)に見直した。2.5円増配し50円配当(期末25円)の予定。設備投資50億円(前期46億円)の計画。3、4Q追い込みが注目される。現在、社長が全国主要8拠点を現地視察。今年2度目という。子会社のエクステリア、照明器具も新たな持分法適用、連結子会社加入を受けて来期もう一皮むけそうだ。4Q区間新も考えられる。