1、2Q善戦 岡谷鋼機 10月5日 (2016.10.04)
景気テコ入れに含み
新中期計画立ち上げ次世代の仕込み
岡谷鋼機(7485)は善戦。連結7期振り減収、5期振り営業減益の折り返し。2Q減収幅、減益幅も縮小した。原油をはじめ素材安、円高、数量伸び悩みなど減収要因。これに対し、在庫調整、子会社収益改善、日経平均が5%余り戻すなど採算確保を後押し。後半、政府と日銀による財政・金融一体の景気テコ入れに含みを持たせた。半年前に新中期計画を発表し、連結売上高1兆円、純利益200億円を打ち出した矢先の反落。初っ端荒れ模様で印象的。巻き返し抜きに収まらない。成長市場、先端商品・技術への挑戦など6項目の事業戦略によるもので、Gih-2015(2011~15年度)を総括しGih-2020(2016~20年度)を立ち上げた。早速様々な取り組みが始まり、農業事業がオランダから導入したハイエンドな水耕栽培で高品質・低コストの「松島トマト」(宮城県の日本三景)を出荷し順調なスタート。6月に虹技(5603)と合弁で49%出資して設立した自動車用プレス金型鋳物の南通虹岡鋳鋼も需要旺盛。手一杯の天津子会社を補強するもので来年6月稼働の予定。このほか、連結子会社(72)のうち従業員50人前後の規模で顕著な収益回復が見られたという。小規模がデフレに強いといわれる所以だ。また、株主優待制度を見直し長期保有に手厚いもてなし。半期毎同一株主番号で連続6回(3年)以上記載された100株以上の株主に当中間期末1000円相当分の図書カード。期末100株以上の株主には2000円相当分別送で贈ることに決めた。これまで配当をはじめ中間期末200株以上の株主に(山の幻・愛知米ミネアサヒ)5キロ、期末100株以上の株主に同等の優待が続いており市場でも好感された。直近3期、連結純利益がピークを更新し調整半年。後半踏ん張りどころ。9月30日発表された8月の国内消費支出4.6%減、物価0.5%下落(6カ月連続)、失業率3.1%に悪化。海外でもドイツ銀行処理、米国大統領選、原油生産調整合意の反動など波乱含み。12月米利上げ持ち越しも伝えられるためだ。同社の場合、2019年(創業350年)が次の節目。1937年の設立から数え82年に相当し50年、100年に1度の危機をすべて乗り越えてきた。新中期計画も5年スパンで時間軸350年の1.4%。ピーク更新直後1、2Q 反落したところで動じない。昨年4月、後半踊り場、調整3年と述べたように織り込み済みだ。新中期計画が新分野、新事業立ち上げにより同社をリフレッシュ。残すものを残し次世代をリードすること請け合いだ。
2017年2月期(連結)は、売上高7500億円(4.5%減)、営業利益140億円(14.1%減)、経常利益180億円(12.3%減)、純利益120億円(6.9%減)に見直した。配当170円(中間85円)を据え置く予定。設備投資30億円(前期53億円)の計画。中間期で海外取引比率が28.7%(前期同期32.8%)に落ちたものの、数量によらずドル、人民元、タイバーツ安など円高が主因。自己資本比率も38.2%(前期末35.7%)に改善し守りを固めた。むしろ、3年調整運で中長期仕込みのチャンス。岡谷社長(72)も会社と同運で前向き。次期名商会頭が内定し着地が決まったのもうなずける。