三の矢放ち新工場 アスカ 8月23日 (2016.08.22)
3Q以降反転に意欲
次世代のインフラ構築急ピッチ
アスカ(7227)は三の矢。11日、愛知県高浜市の所有地に新工場着工を発表。国内再構築に乗り出す。2014年8月インドネシア工場稼働、15年2月トップ交代に伴う新体制に次ぐもので、来年8月稼働の予定。事業100年を視野に次世代のインフラ構築急ピッチ。来秋、インドネシア現地工場でMPV(7人乗り小型多目的車)を量産する三菱自(7211)に先行。11日、ジャカルタ郊外で開幕した国際オートショー(21日まで)に展示したトヨタ(7203)・ダイハツの最新モデルにも連動している。4月に発覚した三菱自の軽燃費不正による影響ほとんどなし。10月日産傘下入りで変化も考えられる。東南アジアで三菱自が日産の実績を上回っているだけに願ってもないビジネスチャンスだ。国内で計画通り本社工場跡地に自動車部品を集約。幸田工場(自動車部品)、豊田工場(ロボットシステム)、高浜工場(塗装設備を含む配電盤)トータルで採算改善が見込まれる。新工場関連投資約42億円。自己資金と借入金で調達するが、未曽有のマイナス金利とあって金融機関が後押し。いいポジションにつけた。3月29日インドネシア現法がルピア安、6月28日熊本地震の影響で2度下方修正したものの、3Q以降反転に意欲。通期の連結売上高1.4%、営業利益を14.0%上方修正している。今となれば、インドネシア増強が目玉。自動車の軽量化と安全性を高める上でハイテン(高張力鋼板)加工の需要増が見込まれ、3000トントランスファープレス(推定約10億円)導入を決めた。月産36万個といわれ、引っ張り強度590~980メガパスカルのハイテン材を加工できる。軌道に乗れば本社工場にも導入される見通し。従来1600トンが主力だったが、今後大型プレスの時代になりそうだ。UNIDO(国連工業開発機関)によると、2016年版年次報告でインドネシアの製造業が英国とカナダを抜き初の世界トップテン入り。15年の製造業成長率5.0%(経済成長率4.8%)。中国やインド減速が伝えられる中で健闘。同年の新車販売101万台を数え東南アジア最大。うち、日本勢が9割以上。ジャカルタにアセアン本部があり、来年以降ポスト米国を巡りマーケット拡大が予想される。
2016年11月期(連結)は、売上高210億円(10.0%増)、営業利益4億9000万円(32.6%増)、経常利益4億2000万円(62.8%増)、純利益1億4000万円(327.7%増)に見直した。配当10円(中間4円)を据え置く予定。設備投資11億円の計画だが大幅に増加しそうだ。自動車部品とロボットシステム続伸が見込まれ、配電盤とモータースポーツ一服。国内、海外も2017~18年が最大の見どころだ。前回述べたように、16~17年上昇運。片山社長(48)も同運でタイムリー。中国とインドネシア現法が15年後半から調整運で3年続くという。現在、三菱自が連結売上高の約2割。来秋からトヨタ向けも増加するとみられ、一の矢、二の矢に続き三の矢を放つ場面。まる1年仕込みに明け暮れそうだ。