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企業レポート

人材確保が先決 一六堂 8月3日 (2016.08.02)

東京五輪後を先取り 

質的見直し進みビジネスチャンス

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一六堂(3366)は回復。1Q連結69.1%営業増益。流れが変わり始めた。人手不足を主因に店舗、料理、ドリンク、身だしなみなど質的見直しによるもの。昨年8月から客足が落ち込み、書き入れ時の7、12、3月を踏まえ、さらに絞り込む構えだ。1Q5店業態変更・2店閉鎖により77店舗(前期末79)になったが、業態変更後の閉鎖を含め中間期末72の見込み。7月14日47万株(1億7000万円)を上限に自己株取得を発表し求心力がついた。2020年東京五輪、直後に東京駅八重洲口再開発(23年度までに50階建て規模2棟)、27年リニア開業(品川~名古屋)を視野に仕込み本格化。銀座12、新橋7、八重洲13、新宿12店舗など現在の拠点を足場に首都圏主要ターミナル駅、山手線沿線主要駅にドミナント出店。数年来、五輪、八重洲再開発、リニア後を先取り。本社移転先も気になるところだ。同社の場合、ビジネスマン帰宅の動線解析、大企業進出の有無、周辺環境が物件選定の決め手。去る3月30日、「八吉」(八重洲二の丸店)フードサービスのデータが興味深い。31.9坪、48席で売上高75万円。客数124人、同単価6052円、回転率2.58。大型店で最繁忙の暮れに匹敵する2回転以上を実現している。日本協会によると、3月のパブレストラン/居酒屋の売上高92.7%、店舗数91.4%、利用客94.4%、客単価98.2%。その後も低迷が続き、6月居酒屋に限って店舗削減の影響から売上高88.4%。同社は前期の高い原価率で臨み、売上高未達ながら予想以上の営業増益。店舗閉鎖と人件費増が先行し採算が好転した。原油安の影響で水道光熱費も助かったという。せっかく12漁港の買参権を持ち、仕入れた鮮魚が翌日各店舗に到着。原価も他社の約半分といわれながら各漁港のシェア推定1%前後。すでに、200店舗体制という。2015年(設立20年)から10年伸び盛り。現在運気好調にもかかわらず逐一足場を固める展開。店を任せられる人材なしに発展なしという。前回紹介した100%子会社柚屋(ゆずや)が一例。06年青果物一括仕入れから10年。都中央卸売市場(大田市場)の買参権を取得しグループのほか顧客拡大。7~8億円の規模になり、2018年11月豊洲に移転する予定。買参権の拡大では山口漁港の協力も欠かせないという。

2017年2月期(連結)は、売上高99億2700万円(2.9%増)、営業利益4億8400万円(46.6%増)、経常利益6億0300万円(36.5%増)、純利益3億1300万円(42.1%増)の見通し。配当10円(中間5円)を据え置く予定。設備投資3~4億円(前期2億9500万円)の計画。新橋ほか出店3を持ち越し人材確保が先決という。江戸開府来、五街道の起点になった日本橋。2011年に架橋100年を迎え、築50年余りの首都高速道路とともに転機。この先、同社にとって最大のビジネスチャンスがやってくる。

 

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