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企業レポート

草刈正雄も復活 マキタ 7月12日 (2016.07.11)

新風吹き込むロボプロ 

創業来のアフターサービスに全力

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 マキタ(6586)は踊り場。前期後半から伸び悩み。今期も慎重な見通しだ。原油のリバウンド一巡、米国利上げ足踏み、英国EU離脱など円高(現地通貨ベース)によるもので、今期の世界生産台数2570万台(3.1%減)の見込み。しかし、前期2653万台(計画2500万台)に達し、昨年10月と今年1月2度上方修正。連結売上高が6期連続ピークを更新している。足もと国内が予想以上で北米続伸。欧州、アジア、中南米など政局不安・経済停滞など流動的。ポンド急落とユーロ安がドルと円高に跳ね返る中で健闘している。通期国内700億円(2.3%増)、海外3300億円(7.1%減)の計画。基準レート米ドル110円、ユーロ120円、人民元16.9円。これまで1割円高に振れ悩ましい。にもかかわらず、中長期新興国の市場開拓がフロンティア。現に、ボリビア(昨年10月)、ラトピア(今年1月)、ロシア南部のクラスノーダル(今年3月)など販売サービス拠点を新設。検討中の案件も多い。英国離れが伝えられる折り、同国の拠点増強に踏み切った同社が印象的。準マザー工場といわれる中国の生産拠点に49億円投入し、設備更新と合理化を進めるのもブレないあかし。昨年3月創業100年を迎え、次の100年もOPE(Outdoor Power Equipment=園芸機器)を新たな糧にストロングカンパニー(国際的総合サプライヤー)を目指す旨に変わりない。新風を吹き込んでいるのが、昨年9月発売した「ロボプロ」(ロボットクリーナー)。2013年シャープ(6753)と業務・資本提携し第2弾。センサに制御技術、割安感も受けている。充電式小型集じん機「サイクロンクリーナー」に次ぐもので、18Vバッテリー2本で約500㎡の清掃をこなす。本体のみ標準小売価格11万5000円。倉庫や構内のほか、オフィス、店舗にも広がりそうだ。事実、東京駅の新幹線折り返し約7分で全車両16両清掃が紹介され、販売台数が急増した同社のスティック型掃除機。吸引力、長いバッテリー稼働時間、短い充電時間が評価され先駆けになった。昨年11月から海外に続き国内で自前の充電式コーヒーメーカーがお目見え。全体のイメージも上がり始めた。シャープと提携した年に草刈正雄(63)をOPEのCMキャラクターに起用。その後、NHKの大河ドラマ「真田丸」で真田信繁(堺雅人)の父・昌幸を演じ復活したのも語り草。05年、電動工具にリチウムイオン電池を採用して10年余り。エンジンから充電式切り替え、パワーアップが進み、シャープのセンサに制御技術も加わった。6月28日の株主総会でシャープとの提携効果、英国と欧州の今後、営業利益率の確保など5つの質問。いずれもタイムリーでレベルが高い。135人出席(昨年160人)、56分(同53分)で終了。ブレないやり取りが何よりのようだ。

2017年3月期(連結)は、売上高4000億円(5.6%減)、営業利益600億円(7.2%減)、経常利益同(2.4%減)、純利益415億円(0.3%減)の見通し。配当は中間18円、配当性向30%を基準に期末(前期101円)決める。設備投資170億円(前期118億円)、研究開発費96億円(同96億円)の計画。生産の9割、連結売上高の8割以上海外。高容量のリチウムイオンバッテリーやブラシレスモーターを搭載し充電式シフト。創業来続くアフターサービスに全力を注ぐ構えだ。来年も社運好調。堀社長(68)は、次の100年も仕込みに余念がない。さらに円高が続くとみられ、ピンチをチャンスと受け止めている。

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