基盤整備仕上げ サンゲツ 6月28日 (2016.06.27)
「市場起点」の3期目
問題の解決が新体制の醍醐味に
サンゲツ(8130)は計画線。新体制3期目。正念場を迎えた。前期、1年早く目標連結純利益63億円を突破。今期、計画を下回ると次のステップに響くためだ。円高株安、マイナス金利、原油相場の強弱感対立など波乱含み。夏場以降、米大統領選にかけて混乱も予想される。計画によると、住宅着工2.4%増(前期4.6%増)、リフォーム2.9%増(同2.8%増)、非住宅2.5%増(同6.5%減)の見通し。連結売上高では主力のインテリア1206億円(4.7%増)が意欲的。子会社のエクステリア152億円(3.3%増)、同照明器具42億円(1.3%増)にも反映している。値上げや仕入れ単価削減を見込めず、商品力・機能強化を打ち出し、社員一人ひとりが現場の担い手。自分の仕事が会社の経営に直結するという「市場起点」の3期目。基盤整備の仕上げを迎えた。これまで組織の見直し、人事制度改革、組織・運営ルール見直しを終了し、情報システムの再構築真っ只中。業務改革と物流システム再構築に連動するもので、2017年1月稼働の予定。それに、商品開発・調達、営業体制、物流やサブ機能強化など事業戦略の再構築と拡張戦略が活発。4月1日新しいブランドコンセプトを発表し、ロゴタイプ、シンボルマークを一新。新ブランドに合わせ全国ショールームの呼称をリニューアル。昨年7月オープンした品川を旗艦に6月仙台、沖縄、今秋金沢にも小型ショールームが誕生する予定。最新のデジタル体感システムなどを導入し、あらゆるニーズにこたえるという。このほか、品質管理技術室や物流拠点再整備(埼玉県久喜・愛知県稲沢・東京都平和島)も逐一稼働の運び。さらに、新規事業(大版セラミックスラブ)や海外事業(中国上海)など一斉に動き出した。仕事が壁にぶち当たった時、めいめい問題を解決するのが新体制の醍醐味。延べ160年続いたオーナー経営が僅か3年で「民主化」し、次の中期計画(2017~19年度)でROE8~10%を表明。インテリア事業中心に連結収益拡大、新規・海外事業育成、新たな資本政策導入などダイナミックなパートⅡが次の目標。2014年から上昇運。安田社長(66)も同運で19年まで続くだけに仕込み次第だ。絶好のポジションとみられる。
2017年3月期(連結)は、売上高1400億円(4.5%増)、営業利益90億円(1.2%減)、経常利益95億円(0.4%増)、純利益63億円(1.5%減)と計画通り。2.5円増配し50円配当(中間25円)の予定。設備投資50億円(前期46億円)の計画。昨年9月壁紙シリーズと床材カーペットタイルが2015年グッドデザイン賞、今年5月大版セラミックスラブとガラスの映り込みを抑えるフィルムがJCDプロダクトオブザイヤー2016を受賞した。壁紙、床材、ファブリック3事業部に商品開発、購買、マーケティングの基本政策決定を任せたところがミソ。株主に対し100%以上総還元性向が2期続き3期目を迎えた。創業、設立から見ても仕込みの10年。今は1年が10年か20年動いている。