正念場迎え我慢比べ
中国リスク高まり電炉の可能性探る
中部鋼鈑(5461)は逆回転。2、3Qの減収増益予想以上。健闘している。昨年10、11月の修正発表によるもので、数量・単価の落ち込みにかかわらず鉄スクラップの値下がりが大きいためだ。4Q利ザヤ縮小。来期も先安感が残り綱引きが予想される。高炉、電炉ともに正念場。中国リスクの高まりに呼応し共同防衛。大阪製鉄(5449)が東京鋼鉄(5448)を買収するほか、新日鉄住金(5401)が日新鋼(5407)まで子会社化する事態。2月27日のG20・中銀総裁会議(上海)でも「すべて政策手段を動員する」旨共同声明が出た。しかし、前回述べた国際商品スーパーサイクルの反動。資源価格が昨年軒並み半値以下なり、中国の鋼材やビレット(半製品)が年換算1億トンペースで洪水のように海外へ流れ出した。世界の鉄鋼メーカーがほとんど赤字で中国の粗鋼生産も34年振りマイナス。それでも鉄鉱石の生産コストが下がり増産が止まらないという。これまでの減産・在庫調整で市況を説明できず、当面トヨタ(7203)が部品メーカーに支給する4~9月期の鋼材2期連続引き下げが新たな手掛かり。東京製鉄(5423)が5ヵ月振り3月4~14%値下げするものの市況次第。川上から川下まで構造調整が尾を引きそうだ。今後原油安の浸透と自由化により電力代が下がるとみられ我慢比べ。少なくても3年続くとみられ、今期から「15中期計画」に連結事業基盤の強化をはじめ4項目をテーマにグループ再構築。集塵装置の羽根車交換や圧延工場のコンプレッサーなど現場レベルで地道に電力代をコストダウン。09年3月立ち上げた省エネルギー推進委員会が活躍している。このほか、子会社の明徳産業がベトナムハノイ郊外で今夏稼働予定の孫会社に将来の布石。日系企業の設備需要を取り込む上で顧客開拓を始めた。海外調達やコストダウンにもつながる。今期50万トン台前半(前期53万トン)といわれる主力の厚板を同計画により60万トンに引き上げる構えだ。1月29日、新日鉄住金との戦略的提携有効期間満了を発表。互いにけじめをつけた。「15中期計画」と我慢比べ3年が鉢合わせ。1~3Q見事適応している。
2016年3月期(連結)は、売上高380億円(12.4%減)、営業利益34億円(45.9%増)、経常利益35億円(46.4%増)、純利益22億円(50.6%増)に見直した。なお上振れ余地がある。配当14円(期末8円)の予定。設備投資10億円(前期同)の計画。来期以降、増収増益が難しいのも事実でコスト競争力が決め手といわれる。中国の過剰生産が続く中で同中期計画の実現が次のステップ。2012年から無借金で健全だが、もう一度老朽化設備を更新し、「鉄のリサイクル」を刷新する場面も考えられる。英米を前例に日本でも鉄の覇権40年といわれ、電炉の可能性を探っているところが魅力だ。