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企業レポート

仕込みにかかる 矢作建設 2月16日 (2016.02.15)

3期連続ピーク更新 

未曽有のプロジェクト助走入り

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矢作建設工業(1870)は続伸。3Q連結累計5.0%増収、2.9%営業増益で回り直線コース。3期連続ピーク更新の見込み。3Q末の連結総資産952億円(8.3%増)、営業利益進捗率81.9%。回転が利いている。昨年6月から藤本会長(63)と高柳社長(53)が代表権を持つ新体制。63年続いたオーナー経営を軌道修正し、顧客本位・施工力向上を打ち出したリレーに成功。仕込みが効いている。一巡した耐震補強(3Q連結累計23.8%減収)に代わり、一般建築(同26.0%増収)と土木工事(同24.8%増収)の完工が目立ち、不動産等(同29.4%減収)の採算も改善。依然尻上がりだ。建設中のテーマパーク「レゴランド」(名古屋港金城ふ頭の商業開発事業)の東隣で共同商業施設開発が2月に具体化。イケア長久手店受注も有力な手掛かり。長久手市が3月イケアに土地を引き渡し2~3年後オープンの予定。東京ドーム1.3倍のスケールで同社連結売上高の約1割を占める大型案件だ。これらに前回述べた名駅再開発事業を勘案すると、100年に1度のビジネスチャンス。助走に入ったことがわかる。筆頭株主の名鉄(9048)が3Q 連結累計最高益を計上し4Q 追い込み。同再開発整備に社運を賭けたのに通じる。まだ構想の段階だが、2027年リニア開業(品川~名古屋)に伴うもので、名鉄百貨店から日生笹島ビルまで南北400メートルビル一体化。一日最大900本超の列車をさばく名鉄名古屋駅、バスターミナル、高速道路など立体交差。稼働しながら高層ビル3棟を立てる難工事。名鉄をはじめ近鉄(9041)、三井不動産(8801)、日生など延べ2000億円超のプロジェクトといわれ待ったなしだ。名鉄も昨年6月から山本会長(67) と安藤社長(60)が代表権を持つ新体制。今春から中部国際空港でLCC(格安航空会社)の就航が決まっており、5月の伊勢志摩サミットも追い風。2年がかりマスタープランをつくり設計に着手。2020年着工の運び。名古屋市や愛知県もリニア開業を見越して新幹線、在来線、地下鉄、私鉄のほか空港、高速道路乗り入れなど名古屋駅スーパーターミナル構想具体化に意欲。名駅南の笹島ではTV局やホテルも開業する見込み。未曽有のプロジェクトが動き出そうとしている。

2016年3月期(連結)は、売上高870億円(5.5%増)、営業利益70億円(3.0%増)、経常利益69億円(3.3%増)、純利益42億円(15.4%増)の見通し。計画通りだ。2円増配し20円配当(期末10円)の予定。耐震補強工事が峠を越し一般建築や土木、不動産、プロジェクトなどスタッフ切り替えが課題。名鉄が社運を賭ける以上、同社も一体となり地域や株主の期待にこたえるという。新卒34人を採用。20年から本格化する大プロジェクトに備えた。「建設小町」こそいないが、女性の活躍なしに回らないという。2015~16年上昇運。会長が運気好調な上、社長も2月から上昇運入り。7~8年続く見込みでゴーサインに違いない。前回述べたように、連結売上高ピーク(97年3月期985億円)更新が視野に入った。2度と考えられないポジション。2019年(70周年)にかけて仕込みにかかっている。

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