底堅い折り返し NDS 11月26日 (2015.11.25)
10年後見越した踊り場
ICTのプラットホームが一変
NDS(1956)は底堅い。予想以上の折り返し。次第に煮詰まってきた。モバイル投資一巡、光回線接続料引き下げ、首相の要請で携帯料金引き下げも俎上にのぼるなど踊り場。今、来期反転待ちだ。前期落ち込んだ反動もあり、2Q連結累計31.7%営業増益。主力の総合エンジニアリング(12.0%減益)に対し、ICTソリューション(93.4%増益)の健闘によるもの。6月8~9日に東京大手町で「世界ICTサミット」(日経・総務省主催)が開かれ、NTTの社長は「東京五輪を新事業の好機」、日本IBM社長が「IoTで日本が世界一に」と述べ注目された。直近、ソニーの元社長も「10年後CPU(中央演算装置)の処理能力が100倍になり、スマホがスーパーコンピューター並みの能力を持つ時代。人工知能がデータ解析のOSになる」と発言。全てのものがネットに接続されるIoTや金融情報技術「フィンテック」など90年代からデジタルシフトで成功したプラットホームが一変するという。1985年のNTT民営化から30年。現在の通信ビジネスが22兆円市場といわれ、連結営業利益上位10社にトヨタ(7203)や三菱UFJ(8306)などと並びNTT(9432)、ソフトバンク(9984)、ドコモ(9437)、KDDI(9433)が常連。光回線接続料と携帯料金引き下げが4社の寡占を崩すとみられ、10年後IoTやフィンテックの時代といえなくもない。民営化30年でNTTが4倍に膨れ上がった市場の半分を占め成功といわれるが、毎年10億台を超えるスマホが出荷される世界の市場拡大についていけないのも事実。日本だけ通用するガラパゴス経営に寿命がきた。5年後の五輪より10年後の構造変化を先取りする踊り場。来年の伊勢志摩サミット、名古屋駅スーパーターミナル構想、リニア開業(2027年)など反転の手掛かり。今、来期が鍵を握っている。同社の場合、2024年(70周年)から10年が二度目の開花期に相当し、現在大きな変化に包まれた。来年上昇運で何か起きる。NTTと同社が伊藤社長(63)と同運だけに気になる。
2016年3月期(連結)は、売上高740億円(1.5%増)、営業利益22億円(11.8%減)、経常利益25億円(11.1%減)、純利益14億円(19.8%減)と従来通り。配当10円(中間5円)を据え置く予定。3、4Q これといった材料が見当たらず、来期も手掛かり難というが、総合エンジニアリングとICTソリューションも比較的確り。10年先を見越して動いている印象。進行基準のため、期間損益に過不足がなくなった。まだ具体的な材料がないものの、期待先行で上げたNTT、ドコモなど追い上げる場面がやってくる。