反転持ち越し 旭化学 10月28日 (2015.10.27)
巻き返しに全力の構え
マキタやる気でタイ奮い立つ
旭化学工業(7928・JQ)は足踏み。反転を持ち越した。国内のほか中国、タイの連結子会社も苦戦。前半延長上にあるが、後半巻き返す見通し。マキタ(6586)とトヨタ(7203)向け部品加工が主力。踏ん張りどころだ。事実、リーマンショック当時黒字を確保。直接影響なかったというが、中国の固定資産投資(4兆元)が一巡し逆回転。直近2期、思うように利益が出なくなった。得意先の国内減産、中国が品質強化と人件費増、タイの目標稼働率未達などによるもの。これまで1年、原油をはじめ資源安の影響がデフレを促し価格競争激化。材料有償支給でやりくり算段に追い込まれた。前期連結営業赤字8400万円に拘らず、子会社から臨時配当2億900万円を計上し年6円配当(期末3円)を堅持。巻き返しに全力を挙げる構えだ。タイの場合、当初3年で黒字の計画が5年に延び、損益分岐点推定5億円(前期の売上高1億5800万円)の模様。マキタのタイ工場と隣接し正念場。中国進出直後、マキタから1年注文なしに乗り切ったのが支えになっている。タイにこだわると、8月に実質GDPを2.7~3.2%に下方修正。潜在成長率5%といわれる中で3年連続下振れ。政情不安が尾を引いているためで、同国政府の外需主導による景気回復が中国減速で困難になった。日系企業にとって東南アジア最大の投資先だが、自動車を例にとると、政府の消費喚起により空前のマイカーブームになった2012~13年の反動。前政権のツケが残っている。しかし、今期2億4000万円を掲げ、国内30億円、中国38億円の見通し。タイの投資額が累計10億円を突破し、中国立ち上げ時の7億円を上回るうえ、マキタがやる気で奮い立った。現在、中国の7分の1(従業員約50人)の規模。仕込み次第でリターンも大きい。プラスチック成形加工学会(第26回年次大会)によると、「裾野を広げる成形加工:基礎を固めて展開へ」が今年のスローガン。2004年に発売された生分解樹脂が10年で100万トン出荷。欧米やアジア各地に輸出されているという。直接関係ないが、基礎を固め半世紀以上。日本と中国、タイを結び企業100年の布石を打っている。
2016年8月期(連結)は、売上高72億円(5.8%減)、営業利益1000万円、経常利益8000万円、純利益5000万円の見通し。配当6円(中間3円)を据え置く予定。設備投資1億5000万円(前期同)の計画。下穴不要、強化石膏ボード対応のアンカー「極美」(ごくび)を売り出し中。特殊な螺旋形状が抜群の仕上がりを可能にするという。前期、7年振り売上高が最高(2008年8月期73億6700万円)を更新したものの、人民元切り下げに伴う円安によるもので、影響約8億円。今期から名実ともピーク更新を目指し奮い立っている。