証券ビュー

企業レポート

小振りでピュア 今村証券 10月6日 (2015.10.05)

独自のプレゼンス魅力 

株取引のほか多彩な金融商品を開拓

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今村証券(7175)は確り。昨年12月JQ に上場し間もなく1年。一皮むけた。大手や中小、地場にもない独自のプレゼンスが魅力。日本の金融は銀行と証券が両輪。銀行に追いつくことが自分たちの使命。それが証券業の大義で国のため、自分たちのためになるというもの。前期末の従業員173人。預かり資産2230億円(19%増)。直近の顧客延べ4万5000人を数え、NISAの口座1万9000突破。もっぱら個人で大口によらず、旧山種証券同様米穀取引(1921年創業)がルーツ。1933年から証券業を兼営し1934年設立。預かり資産をベースに信用創造を試算すると約7000億円。近隣の信金を抜いて第2地銀並み。地元の北国銀行が3兆円といわれ、今後北陸3県で銀行預金を掘り起こし十分伸びるという。地場9社の中でシェアざっと半分。前期末、自己資本規制比率656.2%。がっちりしてきた。営業収益33億2400万円に対し、株券の委託手数料13億7400万円(41.3%)に過ぎない。福井県に本社がある前田工繊(7821)の公募増資で引受幹事団に加わったほか、EB(他社株転換社債)、外貨建て債券、北陸電力債、福井県債、多種多様な投信など金融商品をラインナップ。債券31.3%、受益証券19.1%にのぼる。バブル崩壊から25年、逆境をしのぎ人材育成。株価低迷にかかわらず、多彩な金融商品を開拓しマーケットニーズにこたえてきた。顧客層が小口一色で末広がり。大口顧客の機関店で一世を風靡したわけでもない。今でも汗をかいて対面営業。「アイルート」(自分たちでつくりあげたソフト)でネット取引もこなす。何しろ、バブル当時の純資産35億円にひきかえ前期末70億円。これまで誰しも認めざるを得ない営業努力がうかがえる。野村HD(8604)の2代目・野村徳七(1878~1945)が自伝の中で「すべての証券について本質の研究を科学的になすべき責任がある」とリサーチ部門を立ち上げ、「人材を養うこと、有為の人材を蓄え適材を適所に配することが資本以上の財産」と述べた通り。戦前、戦後四半世紀の大調整を通じて調査・研究に基づく株取引や様々な金融商品を提案する人材が育っている。証券業の大義が哲学としてたたみこまれ戦う集団になった。2003年東証、2010年大証の取引資格を取得したことでもわかる。東京商品取引所や大阪堂島の取次業者になり顧客の先物取引にも便宜をはかっている。日本証券経済研究所の「証券レビュー」を見ると、改めてこれまでの経緯がリアルに伝わってきた。同社は小振りだがピュアそのもの。銀行資本を頑なにこばんでいる。ペギー葉山のCMソング「金沢十間町 今村証券」が今でも心地よい。JQに上場したのも挑戦者のイメージがあるためだ。次世代に将来を託す上で日本郵政グループの上場に意欲的な取り組み。絶えず10年、20年先を念頭に使命を全うするところが受けている。今村社長(71)にエールを送りたい。

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