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企業レポート

逆らわずに適応 中部鋼鈑 9月17日  (2015.09.16)

顧客に新たな価値提供 

4項目テーマにグループ再構築

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中部鋼鈑(5461)は踊り場入り。1~2Q小動き、3~4Q波乱含み。これまで小康を保っている。高炉、電炉ともに在庫調整。8月19日、トヨタ(7203)が高炉大手に下期(10~3月期)の鋼材ひもつき価格をトン6000円引き下げ。9月9日、6年5ヵ月振りトン2万円割れの鉄スクラップも気掛かり。前期、数量-10.7%に対し単価+5.2%と合理化で増益を確保しただけに慎重。1Q連結9.5%減収、10.5%営業減益に対し2Q横ばい。年内大丈夫という。銅トン1万ドル、鉄鉱石同180ドルなど2011年をピークに通常の変動を超えたスーパーサイクルの反動。資源価格が軒並み半値以下になった。7~8月上海統合指数暴落をきっかけにチャイナショック。中国の鋼材やビレット(半製品)が年換算1億トンベースで洪水のように世界へ流れ出したという。前回述べた通りだ。ゆうに3年構造調整が続くとみられ、今年度から「15中期計画」に連結事業基盤の強化、顧客対応力の拡大、サブコア事業の伸長、人財の育成4項目をテーマにグループ再構築。17年度を目安に体質強化を打ち出した。04年から5年新興国の資源高騰が続き、連結売上高774億円、経常利益159億円(09年3月期)を計上した反動。山が高かった分、谷も深いと考えられ、「顧客に新たな価値を提供する」のが決め手。電炉の特性を活かし小ロット、短納期、多品種少量生産、きめ細かな納入などシェアの維持・拡大。省エネ・省力化投資によりコスト競争力の強化を図る。中でも孫会社のベトナム新工場立ち上げが出色。グループ会社の自立と連携を促すもので、子会社の明徳産業(資本金5000万円)がハノイ郊外に用地を取得。来年度中に稼働の予定。日系企業に対し各種プラント設備の設計、製作、施工、メンテナンス、加工など海外需要取り込みと同調達によるコストダウンが狙い。新会社は資本金2億2000万円の予定で4~5億円規模の投資になりそうだ。8月22日、65周年記念イベント。本社構内に模擬店が並びアトラクション。近隣の住民約600人と交流し賑わった。同30日、中川区のかぶきもん祭イベント運営にも参加。地元の小学校5年生を対象に工場見学も年中行事で「なくてはならない会社」になってきた。

2016年3月期(連結)は、売上高419億円(3.4%減)、営業利益25億円(7.3%増)、経常利益26億円(8.8%増)、純利益16億円(9.5%増)の見通し。中間配当5円を表明し期末未定。設備投資はベトナムを除き省エネや集塵機など機械更新約10億円の計画。前期主力の厚板を53万トンこなし今期も50万トン台前半。「15中期計画」で60万トンに駒を進める。今年後半調整運だけに重心が下がった。太田社長(63)は来年上昇運。活気に満ちている。見通し難に変わりないが、流れに逆らわず適応。地道な改善の積み重ねが結果に出ている。

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