採算の改善目立つ 太陽化学 9月15日 (2015.09.14)
課題6項目に結果出す
新たな手掛かり伊勢志摩サミットも
太陽化学(2902)は連結続伸。前期から尻上がり。1Q飛び出した。市場変化、グローバル化、品質管理など6項目の課題に取り組み結果が出始めた。円安株高、消費増税に伴う駆け込みと反動、原油安など通じて直近3期連続増収。採算の改善が目立つ。主力のニュートリション(1Q連結44.9%営業増益)、インターフェイスソリューション(同24.0%営業増益)、アグリフード事業(同1億3000万円営業黒字転換)そろって堅調。このうち、ニュートリションの「サンファイバー」(水溶性食物繊維)が国内と欧米で医療用向けに高い伸び。「カテキン」(緑茶抽出物)も米国でサプリメント用途が拡大。大幅増益に貢献している。2Q計画線という。同社の場合、6月11日伝えられた大阪大学発ベンチャー企業とマイクロ波を用いたポリグリセリンの合成実用化で合意。7月17日の北海道大学が開発した新プラチナ触媒にも関与。新たな手掛かりとして注目された。前者は1年以内を目標に特定の条件でポリグリセリンの合成を従来より低温・低エネルギーで実現するもの。ポリグリセリンはグリセリンを脱水縮合して高分子化した物質。界面活性剤の親水基として利用され、食品添加物のほか安全性を活かし化粧品・トイレタリー、工業用途など年間約3000トンの需要がある。マイクロ波技術を使うと、反応が3分の1から5分の1、エネルギー消費量2分の1から3分の1、設備も3分の2か2分の1になり、スケールアップ数万トンといわれる。一方、新プラチナ触媒は2013年5月21日、北大と同社が共同で「果物、野菜、花の腐敗をもたらす微量のエチレンを低温で除去する触媒の開発に成功」したことを発表し応用編。日立プライアンスの新型家庭用冷蔵庫(2015年モデル)に採用された。いずれも10年スパンで相当な需要が見込まれる。6月5日に決まった伊勢志摩サミット(2016年5月26~27日=第42回先進国首脳会議)が追い風。三重交通(3232)や近鉄(9041)、KNTCT(9726)などご当地関連銘柄が人気化。同社も7月3日1013円まで買われ年初来高値をつけた。前回述べたように、来年創立70年と上場30年に相当し、再来年も研究所統合新築30年を迎えるため何が出るか楽しみ。今年から本格的な上昇運。山崎社長(60)はそれ以上で期待をもてる。
2016年3月期(連結)は、売上高398億円(4.1%増)、営業利益25億円(9.2%増)、経常利益26億円(6.8%減)、純利益15億円(11.3%減)の見通し。配当20円(中間10円)の予定。3Q 需要期、4Q 追い込みに注目したい。4月から新たな機能性表示食品制度がスタート。これを受けて10月7(水)~9日の3日間、「食品開発展2015(Hi/S―tec)」(東京ビッグサイト)に出展する。来年前半活躍が予想され、目を離せなくなりそうだ。