さらなる上振れを期待 OSG 8月26日 (2015.08.25)
航空機向けが支援材料
ベクトル合わせ戦略粛々と遂行
OSG(6136)は好調。2Q連結区間新での折り返し。通期さらなる上放れを期待。7月ピークを更新し、8月スローダウン。バケーションシーズンの影響だ。中国経済の落ち込みと原油安の影響はあるものの、日本で受注残が高く積み上がっており3Qは計画を上回る見通し。中国の自動車販売が7月まで4ヵ月連続減少し、天津の爆発事故で悪化に歯止めがかからない。ギリシャが追い貸しで持ち直したように、中国も問題先送りで追随するとみられ動じない。米国の住宅バブルで2005~06年受注消化が困難になり、リーマンショックにつながったトラウマもある。当時にひきかえ、前半15%伸びた航空機向けが今回の支援材料。2016年2000億円市場といわれ、同社は設備投資20億円上積み。生産能力3割増強に踏み切ったばかり。チタン合金やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)など難削材を加工するダイヤモンドコーティング工具の需要増大にこたえるもの。超硬製品の生産能力とコーティング能力が不足し、マザー工場である大池工場、国内のコーティング子会社を拡張したほか米国でも増強。推定8%とする航空機向けの連結売上高が10%に近づく見込み。ハイエンドで単価が高いのも魅力だ。自動車・航空機向けとは一線を画すフラッグショップ製品戦略も見ものだ。決して安くないが、コストパフォーマンスの高いAブランドが切り口。カタログ製品の拡販を図る戦略だ。シェアの低い欧州で少しずつ成果が表れているだけに、生産能力不足が原因でエンドミルのAブランド発売延期が悔やまれる。海外20年のキャリアを持つ石川社長(59)はじめ、全社員がベクトルを合わせ大手ユーザー開拓とフラッグショップ製品戦略を粛々と遂行する。1968年米国進出を皮切りに世界29ヵ国を数えるグローバルネットワーク。所在地別売上高セグメントによると、2Q(3~5月)の実績は、日本177億7600万円(前年同比9.5%増)、米国56億3700万円(同25.1%増)、欧州28億5500万円(同12.3%増)、アジア89億2700万円(同37.0%増)と全地域で過去最高。工具業界には世界最大手サンドビック(スウェーデン)、2位イスカル(イスラエル)、3位ケナメタル(米国)など上には上がいるが、いずれも得意とするのは刃先交換型の工具(インデキサブル工具)。ソリッド工具で最大手の同社は中国経済の落ち込み、原油安一巡後のリバウンドに向け、着実に準備を進めている。
2015年11月期(連結)は、売上高1128億円(11.6%増)、営業利益215億円(23.5%増)、経常利益216億円(22.9%増)、純利益128億円(28.1%増)に見直した。上期上放れ分を通期予想に上乗せしたのみで下期当初のまま。配当性向30%を目安に46円配当(中間26円)の予定。設備投資110億円(前期73億円)の計画。期初計画から20億円増えた。来年1月には連結売上高1160億円、営業利益210億円(2016年度)の中期経営目標を見直すという。来年から運気好調。社長も同運で心配ない。80周年(2018年)、90周年(2028年)にかけて二つ山が見える。一部でボーイング日本進出が伝えられ、「787」の機体35%が日本製とあって、実現する公算も出てきた。