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企業レポート

ピーク更新3期目 矢作建設 8月11日 (2015.08.10)

名鉄より先に新体制

100年に1度ビジネスチャンス

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矢作建設工業(1870)はピーク更新。3期目に入った。例年、年度末の反動をかぶる1Q連結34.7%増収。282.9%営業増益。一段と締まっている。期初受注残499億円(7.8%増)に対し、1Q受注高134億円(41.7%増)によるもの。前期4円、今期2円増配を表明している。3月31日トップ人事を発表し、藤本会長(63)と高柳社長(53)が代表権を持つ新体制。6月26日の株主総会を待たずに回転している。昨年12月、JR品川・名古屋駅で始まったリニア新幹線準備工事。今秋以降本格化し2017年度全面着工の予定。これを受けて筆頭株主の名鉄(9048)が3月に新中期計画を発表。名鉄百貨店から日生笹島ビルまで南北400㍍ビル一体化に伴う名駅再開発が主旨。名鉄をはじめ近鉄(9041)、三井不動産(8801)、日生など延べ2000億円超のプロジェクト。区分所有や費用負担など激論が予想される。名鉄は、4月に6年振りトップ人事で山本会長(66)と安藤社長(60)体制を表明。2年かけてマスタープランをつくり設計に着手。2020年から目に見える形で進行。27年のリニア開業に向けて完成の予定。6月25日の株主総会で社外取締役に元CBCアナを務めた福島敦子氏(53)を起用した。名古屋駅にはJR、近鉄、名鉄、名古屋地下鉄が乗り入れ同時進行。地下にある鉄道のほか1967年以来というバスターミナル、高速道路直結も有力。これまでのインフラを稼働しながら高層ビルを3棟建てる難工事。昨年6月創業120年を迎えた名鉄にとって100年の計。連結売上高約6000億円の3分の1強を占める。同社にとってもゆうに10年を超える大プロジェクト。社長が10年若返っただけに、2018年度以降連結売上高1000億円(ピーク985億円=1997年3月期)大台替え。順調にいくと弾みがつきそうだ。トップ2人が 役割を分担し全社一丸の印象。現場の提案から35年振りユニフォームをリニューアル。子会社が芝生を提供した豊田スタジアムの「Jリーグベストピッチ賞」も快い。1992年84兆円をピークに20年で半分以下になった建設投資に対し、ピタコラムをはじめ耐震補強事業に経営資源を集中し、2015~16年ほぼ一巡する矢先の大材料。商業施設や物流センターなど大手ディベロッパーの大型案件が増える一方、大規模工業団地や100区画を数える分譲住宅。テーマパーク「レゴランド」(名古屋港金城ふ頭の商業施設開発事業)など続々具体化。リニアと五輪の風を背に受けながら名鉄の名古屋駅再開発に心血を注いでいる。2015、16年上昇運だけにやってのけるはずだ。

2016年3月期(連結)は、売上高870億円(5.4%増)、営業利益70億円(3.0%増)、経常利益69億円(3.3%増)、純利益42億円(15.4%増)の見通し。配当20円(中間10円)の予定。建設事業が高水準な上、兼業事業で自社開発案件の下野部工業団地(静岡県磐田市)が目玉。同市の後押しもあり「新東名」直結を手掛かりに地元でも引き合い具体化。1972年から40年以上たって15万坪(分譲8万4000坪)が動き出した。このほか自前の物件が複数にのぼる。2017年から20年にかけて名鉄名古屋駅再開発が最大の支援材料。進行基準で名鉄より先に同社の方が様変わり。100年に1度のビジネスチャンスを迎えた。

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