オーナー経営から脱皮
次期中期計画で化ける公算も
サンゲツ(8130)は脱皮。2年目に入った。第三の創業を目指すもので、これまでオーナー6代による創業期約100年、設立期約60年を総括。人事制度改革をはじめの組織運営ルール見直し、既存事業拡大と成長戦略など仕込み一色。目に見えて変わり始めた。延べ160年続いたオーナー経営から「市場起点」のモノづくりに転換。商品開発、購買、マーケティングなど壁紙、床材、カーテン事業部の中堅ベテランが担当するようになり交流活発。生まれ変わった。安田社長(65)が全国の拠点や取引先を回り、社員食堂で昼食をとるなど率先垂範。中期経営計画(2014~16年度)の目標を連結純利益63億円にしぼり、次期(17~19年度)ROE8%~10%実現を目指す。前期自己株取得47億8000万円と配当30億7000万円計78億5000万円株主に還元したが、ROE3.7%(直前期4.6%)。収益が伸びないと困難なことも事実。しかし、株主は配当と値上がり益が本音であり、JPX日経400のような「偏差値」にこだわるべきでない。各社、事業や目的、リスクなどそれぞれ違うためで、京セラ(6971)のように全従業員の幸福と人類、社会の進歩発展に貢献する方がずっといい。前回、オーナー経営から脱皮すると様変わりになるケースが多いと述べた。オーナーに集中していた権限が解かれ、マーケットを通じて客観的なデータが集まるためだ。同社の場合、インテリアが主力で住宅着工やリフォーム、医療・商業施設などの従属変数。常に受け身で実体把握が難しい。つまり、内装の現場を明らかにして市場ニーズを突き止め、生きた提案につなげようとしている。圧倒的に強い壁紙のほか床材、カーテン、新事業、海外がテーマ。ギリシャや中国が物語るように世界情勢の変化が加速しており、今、来期いかんで次の中期計画も軌道修正を迫られる。6月18日の株主総会で公取委の価格カルテル立ち入り検査に対し、全面的に協力すると答えたほか議事進行に支障なし。拍子抜けした。野球でいえば、バッテリーが変わり新チーム稼働2年目。レギュラーポジション争奪戦に入った。7月30日、東京品川ショールーム〈600坪〉オープン。赤坂のアークヒルズ(350坪)を引っ越すもので、品川・勝島・三郷の物流センターを2018年1月久喜・平和島センターに移転・統合し首都圏強化。地元名古屋も17年1月本社・稲沢のセンターを中部ロジスティクスセンターⅡに集約し、中部ロジスティクスセンターⅠと連携。次の足場を固める。
2016年3月期(連結)は、売上高1355億円(2.6%増)、営業利益82億5000万円(2.7%増)、経常利益85億5000万円(0.5%増)、純利益55億円(24.9%増)の見通し。配当45円(中間22.5円)の予定。4月1日1:2の株式分割によるもの。設備投資40億円(前期15億1200万円)の計画。新築住宅着工89万5000戸(0.7%増)、リフォーム3.2%増、民間非居住建築物1.2%増を見込んでいる。インテリア1165億円(2.8%増)、エクステリア150億円(2.0%増)、照明40億円(0.5%減)のレベル。足もと厳しいというが、溌剌とした印象を受けた。昨年から上昇運で安田社長も同運。今、来期エンジンがかかると次期中期計画で化ける公算もある。7月31日、1Q発表の予定。エクステリアと照明がインテリアに相乗効果をもたらすようになると本物だ。