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企業レポート

シェア上昇中 スズケン 6月19日 (2015.06.18)

トップ返り咲き視野 

前期から中期計画浸透し明るい

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スズケン(9987)は脱皮。納入・薬価ベースともにシェア上昇中。業界2位をとらえ始めた。前期打ち出した「One Suzuken 2016」(中期成長戦略)2年目。2025年(10年後)を見越したもので、顧客信頼度ナンバーワン、日本とアジアを結ぶオンリーワンビジネス確立、グループ60社・従業員1万5000人一枚岩に向けた三つの基盤改革が骨子。1年たってグループ全体に浸透し、製造、卸、保険薬局、介護事業など医療流通プラットホームを巡る次世代の仕込み本格化。来年4月名南物流センター稼働により弾みがつく見通し。長年続いた総価取引から単品単価取引に移行。薬価改定、消費増税、ジェネリック使用促進など三重、四重苦の困難な場面で前期売上高1.0%減(市場2.7%減)、薬価ベース1.2%増(同0.6%減)が手掛かり。創業来得意先に学ぶ一貫した文化のもと、顧客の懐に飛び込むことから始めた。全国各地でアンケート実施。ニーズをもとにサービスを見直し地域密着全国卸を目指すもの。東日本大震災や地下鉄サリン事件、パンデミックなインフルエンザの時も献身的な社員の活躍がグループの士気を高めた。信頼度が上がればトップ返り咲きも視野に入る。昨年10月、コラボクリエイト・SDネクスト合併。同、スズケンロジコム、秋山物流サービス、コラボワークス合併もプラットホーム強化の一環。グループで幅広いバリューチェーンを持ち、これまで医薬品メーカー物流事業16社、希少疫病薬事業8社11品目を受託。来年1月から大手メーカー新規物流受託1社決まった模様だ。モノを運ぶ宅配と一線を画し、医薬品の物流を一手に担うソリューション機能が魅力である。08年に立ち上げた中国の事業も、当初医薬品メーカーと物流のルートが別々で難航したが、同社が昨年4月深圳で日本のメーカー支援ビジネスを始め、都市部のほか内陸にもフルラインで柔軟な対応が可能になった。医療機関・保険薬局とメーカー、卸を結び「三方よし」というわけだ。今期も連結減益予想だが明るい。証券市場では、5月に4000円(連結1株当たり純資産3705円)を突破し大台固め。リーマン前の水準に戻した。

2016年3月期(連結)は、売上高2兆430億円(3.7%増)、営業利益124億円(6.3%減)、経常利益287億円(4.6%減)、純利益177億円(6.4%減)の見通し。配当は54円(中間27円)を据え置く予定。設備投資256億円(前期132億円)の計画。名南物流センター(10番目の拠点)が目玉。日本一のメディカルロジスティクスを目指すものだ。前期流動資産の有価証券76億円、固定資産の投資有価証券でも358億円の評価益を計上し展開に厚み。5月27日医療改革法が成立し、現在50%強のジェネリックが2020年80%以上に引き上げられる見込み。各社収益力の低下が避けられない。2025年から団塊の世代が後期高齢者入りし医療費抑制に拍車がかかるためだ。同社は単独当時トップ。自力で全国制覇を目指していたが、1990年代の業界再編成・連結・リーマンショックを通じて3位に後退。明らかに巻き返しが始まった。太田社長(66)が来年上昇運で楽しみだ。

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