モバイル事業に意欲
リユースでもトップシェア目指す
ゲオHD(2681)は反転途上。3期振り連結増収増益の前期にひきかえ増収減益の見通し。踊り場とみられる。リユース事業拡大加速、メディア事業採算確保のほか、モバイル事業確立を目指しているためだ。ネットワーク戦略(ゲオアプリ350万ダウンロード)、新規事業領域の獲得も課題。リーマン後一変した顧客の生活、スマホ普及に伴う店舗離れに歯止めをかけるのが狙い。4、5月メディア系既存店100.2%、リユース系同106.3%。前期苦戦しただけに堅調。GW好天に恵まれたものの厳しいという。前期上方修正したのはヒット作品「アナと雪の女王」や「妖怪ウォッチ」効果が主因。今期剥落する上、レンタルにマイナスな大イベントもない。このため、5月からSIMロック解除義務化に備え、スマホをはじめ携帯端末の買い取り・販売を強化。4月にゲオモバイル新品のスマホを売り出す一方、NTTコミュニケーションズと業務提携し、ゲオの割引クーポンがついたSIMカードを投入した。新品スマホのフリーテル「プリオリ2」とファーウエイ「G620S」の2機種。割賦と音声SIMカードセットで月3500円前後という。現在6500円で横並びのキャリア大手を切り崩す構えだ。多種多様なMVNO事業(仮想移動体通信業者)参入が続出。現在100社を突破した模様だが、まだモバイル市場全体の2%以下といわれ、1600万人といわれるゲオの会員にインパクトが大きい。既存50と合わせて、今期モバイル出店20を見込む。ライバルが東京の代官山に巨大書店、二子玉川で家電店、九州武雄市では図書館の運営など異色の展開。アマゾンもゲームソフト、DVD/BD、音楽CDに続き本の取扱サービスを始めた。同社の場合、ネットやスマホ普及に伴う直営1370店舗(2015年3月期)再構築。ネットワーク戦略(ゲオアプリ350万ダウンロード)、新規事業領域の獲得がテーマ。はっきりしている。試算でリユース商材の市場1兆5000億円規模といわれ、今後、衣料や服飾雑貨だけでなく、家具・家電・ホビーなども全国トップシェアを目指す。今期はモバイル独自モデル「ゲオスマホ」がダークホース。徹頭徹尾勝ち抜く構えだ。
2016年3月期(連結)は、売上高2750億円(1.7%増)、営業利益85億円(11.1%減)、経常利益90億円(10.3%減)、純利益45億円(38.7%減)の見通し。配当32円(中間16円)を据え置く予定。人件費を奮発し、既存店にLED導入など一時的な減益要因。盆と正月を除き不需要期といわれるが、3Qが最大の需要期(前期の営業利益40億6700万円)。前回、今、来期反転待ちと述べた通りだ。今年を踊り場に来年上昇運。遠藤社長(37)は今年後半から調整運だが、冷静、前向きで問題ない。市場では1月28日、5月1日の上方修正を好感しリーマン以来の高値を更新。緊迫した空気に包まれている。