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企業レポート

いちるの光明見出す 福島印刷  4月8日 (2015.04.07)

印刷の業態転換リード

高性能プリンター稼働が決め手

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福島印刷(7870)は反転途上。増収減益で折り返した。三角もち合いに入っている。1月に最新鋭のロール式インクジェットプリンターを導入。今後、増収(増益)が見込まれるためだ。消費増税の影響もあり、前期の売上高6年振り最高。反動を加味した2Q 累計1.4%増収にもうかがえる。印刷業界が市場縮小、大手寡占の現状から健闘。懸案の売上高60億円突破を目前にとらえた。前回述べたIPDP(事務通知)、DMDP(販促)サービスがリード。主役だったBF複合(2Q累計8.3%減収)、企画商業印刷サービス(同16.4%減収)に代わるもので、今回4億円投入した高性能プリンター稼働が決め手。08年導入した両面バリアブル印刷(可変データを使いページの一枚一枚内容を差し替え印刷する方式)をバージョンアップしたものだ。下畠社長(59)によると、今後需要の拡大が見込まれる高品位なDM向けが対象。性能を最大限ひき出すため、用紙メーカーと共同で開発した圧縮型DMに適した専用紙を使用。よりオフセットに近い品質を実現し「パックLコート」(ダイレクトメールサービス)の提供を始めた。2017年度、パックサービス全体の売上高10億円(倍増)を目指すという。加工技術研究会も、同社に対しBF(ビジネスフォーム=帳票類)印刷から預かったデータを編集・加工し、印刷・印字、後加工、発送まで一連の流れで行うDP(データプリント)サービスにシフト。DPサービスのソリューションを開発し、DMや通知物のビジネス・プロセス・アウトソーシング市場開拓を推進。新しい時代に向けた印刷の業態転換を評価している。今秋の日本郵政上場、2016年1月から「マイナンバー制度」実施も支援材料。3月14日開業した北陸新幹線と同様に直接、間接的な特需も見込まれる。このため、需要期の3Qを迎え従来と一線を画した手ごたえ。昨年後半から上昇運で追い風が吹いている。

2015年8月期(非連結)は、売上高60億円(0.9%増)、営業利益2億1100万円(37.1%減)、経常利益2億800万円(37.4%減)、純益1億2300万円(36.6%減)と当初通り。配当10円(中間5円)の予定。設備投資8億4500万円(前期2億7300万円)の計画。20年以上デフレにもまれ、展望なしといわれた印刷業界。3Dプリンターやオンデマンド印刷も登場し、いちるの光明を見出した。同社は、業界でいち早くDP(データプリント)サービスに高速インクジェットプリンターを導入。やがて、三角もち合い放れが見込まれる。

 

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