受注に生産追いつかず
航空機向けの高い伸びが印象的
OSG(6136)は記録尽め。前期8年振り過去最高の連結営業利益を更新。続伸の見通し。国内外、自動車と航空機の生産が急ピッチに拡大。昨年後半からタップ(世界シェア約30%でトップ)をはじめエンドミル、ドリルなどフル操業。受注に生産が追いつかないためだ。工具専業で連結売上が1000億円を突破したのは国内で同社が初めて。前期末の連結自己資本比率64.3%(実質無借金)、ROE11.7%。前期、中期計画が2年繰り上がり実現した。日本13.5%増収(37.2%営業増益)のほか米国、欧州、アジア揃って2ケタの高い伸び。文句のつけようがない。あるとすれば、2005~2006年当時と同様に受注消化が困難になっている点。円安もあり海外売上高が54.6%(前期53.5%)に上昇した。ダイヤコーティングに傾注し航空機増産に呼応する一方、新興国の自動車産業興隆も好材料。再研磨、再コーティングのアフターサービスを強化するなど大手ユーザー開拓に力が入る。主力製品ごとにボリュームゾーンでシェアアップを図るフラッグシップ戦略も次の一手を打った。前回述べたAタップを口火にドリル、インデキサブルドリルを揃え「Aブランド」を発表。Aクラブを通じて海外代理店のネットワーク構築に乗り出した。今後、M&A戦略も考えられる。このため、2013年度連結売上高883億円(営業利益128億円)に対し、16年度1160億円(同210億円)を目指す新中期計画を発表。18年度(80周年)にかけて次の仕込みに入った。課題の南米とタイを巡る処方も、前者はブラジルで工場をスリム化、アルゼンチンは営業拠点を閉めて代理店方式に転換し決着。後者も政情不安はあったものの前期数%減収に留まった。双方次第に持ち直す見通し。かねてから泣きどころと思っていたロジスティクス。現在、南アジアを中心に在庫センターを次々新設。昨年は台湾、今年はインドネシアに設置。上述したタイが経済情勢に比べて下落率が低いのも13年に設置した在庫センターのおかげという。80周年には、連結売上高1500億円、営業利益300億円の声もあがっている。前期推定90億円(22%増)といわれる航空機向け特殊品の高い伸びが印象的。昨年から2割以上値下がりした超硬工具の原料もプラス材料だ。
2015年11月期(連結)は、売上高1090億円(7.9%増)、営業利益195億円(12%増)、経常利益192億円(9.3%増)、純益113億円(13.1%増)の見通し。配当はさらに2円増配し36円(中間16円)の予定。設備投資90億円(前期73億円)、償却75億円(同65億円)の計画。昨年11月、日本工具工業会から新設の環境栄誉賞を受賞したほか、同12月に日刊工業新聞とモノづくり日本会議から2014年度超モノづくり部品大賞「奨励賞」を受賞。足元の状況も悪くないという。今年から本格的な上昇運。3年続くとみられ、石川社長(59)も同運だけに弾みがつきそうだ。10年スパンで見ると、2028年(90周年)まで2度目の収穫期に相当する。