調味料が反転の手がかり
2、3Q戻り鈍いと2番底も
焼津水産化学工業(2812)は反転。持ち直す公算が大きい。前期2Q機能食品の反動減表面化。需給ギャップ改善によるものだ。震災、原発事故、価格競争をしのぎ再び浮上。昨年11月5日の山本社長(62)を中心とする新体制にかかっている。事実、1Q連結3%増収(6%営業増益)になった主力の調味料が手がかり。低塩や風味氷結、旨みたっぷりなどヒット。技術と価格競争力が評価されたもの。一方、機能食品は調整が続き18%減収(22%営業減益)。業界トップのN‐アセチルグルコサミン、海洋性コラーゲンが次世代の代名詞となり、昨年3月大型CVD(連続真空乾燥機)導入を機にアンセリンを本格投入。複数の大手製薬メーカーから受注し将来性を嘱望されているだけに踏ん張りどころ。先進国がデフレに陥り、サプリメントニーズが一服している。しかし、同社は8月30~31日「第25回キチン・キトサンシンポジウム」(奈良)で、N‐アセチルグルコサミンに乾燥肌改善効果があることを共同発表。ヒアルロン酸、コラーゲンを促すことで食品ののみならず美容分野でも需要が広がるという。社運を調べると、09年(創業50年)を節目に次世代(同60年)を巡る動乱期。10、11年上昇運にひきかえ12、13年調整運。踊り場とみられる。昨年4月発表した新中期計画(3年)は初年度つまずいたが、2期目を迎え機能食品強化、海外事業(上海事務所開設)の積極展開、国内市場の安定確保に傾注。バランスを取り戻しつつある。
1Q連結は、7%減収、16%営業減益、15%経常減益、4%増益。水産物の問屋口銭による取引を従来総額から純額表示に改めすっきりした。むしろ、締まって見える。12年3月期(連結)は、売上高210億4500万円(6%減)、営業利益12億7000万円(18%増)、経常利益13億4500万円(19%増)、純益7億4000万円(3.3倍)の見通し。配当は22円(中間10円)を据え置く予定。不採算品見直し、高採算品拡販、生産効率改善のほか経費削減、子会社の採算確保など2Q以降増益の見込み。市場からみると、昨年10月29日の下方修正がショック。震災に伴う3月15日の625円で10年来安値を更新。2、3Q戻りが鈍いと2番底も考えられる。