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企業レポート

拡大路線に舵を切る  トランシ―  10月17日 (2014.10.16)

投資なしに増収なし 

連結総資産更新に見どころ

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日本トランスシティ(9310)は攻勢。新中期計画で設備投資200億円を表明。拡大路線に舵を切った。全体の4割を占める倉庫、同2割前後の港湾と陸上輸送、国際複合輸送など新しい価値を生み出すのが狙い。連結売上高1000億円、同経常利益50億円(2017年3月期)に3度目の挑戦。1Q連結5.1%増収で飛び出した。全部門増収、中でも国際複合輸送・その他(14.7%増)の伸びが目立つ。燃料や人件費、新規貨物の準備費、物流センタ―稼働に伴う営業費用など減益要因も新鮮。2Q連結累計の発表11月6日の予定。消費増税の影響で3、4月動き、5月の連休後7、8月にかけて台風や冷夏もあり落ちたが9月戻したという。円安が定着したものの、輸出入の取扱が増加したのは国際複合輸送のみ。四日市港の海上コンテナによると、輸出が昨対19%減り輸入が3%増え産業構造の変化もうかがえる。例えば、ひところ輸出で潤った完成自動車が現在国内だけ。ニクソンショックから40年の円高とリーマンショック後5年の金融危機にもまれ締まった印象。主力の倉庫でいえば、在庫調整を受けて回転率が若干悪化する一方、期中平均保管残高は増加。物流加工業務の取扱も着実に増えている。倉庫業界4位、中部地区最大といわれ、2015年に創業120年を迎える同社。連結総資産964億円(同純資産459億円)の更新に見どころ。設備投資200億円が同資産の2割に相当し、2020年東京五輪、翌年三重国体を視野に噛み合うと面白い。2015年から上昇運に入り、小川社長(66)も同運だけにWで効いてくる。三重県は銀行を含め上場会社が20あるが、人口30万の四日市で独立を守り間もなく120年。新計画は3大都市圏と北海道、九州に拠点を持ち、北中米、アセアンを結ぶロジスティクスが活路。3PL案件対応、ソリューション型営業機能拡充によるもので、グループ基盤強化、CSR経営(企業の社会的責任)に踏み込んだ。今後、投資なしに増収を見込めないという。取引先に財閥系のような縛りがなく、フリーハンドな信頼関係が魅力である。

2015年3月期(連結)は、売上高910億円(3%増)、営業利益37億円(2%増)、経常利益45億円(同)、純益27億円(0.5%増)の見通し。配当9円(中間4円)を据え置く予定。設備投資39億円(前期47億円)の計画。今期から懸案が幾つか具体化しそうだ。前回述べたが、円ドル110円台でも定着すれば国内生産に切り替える動きが予想される。40億円投入し6月に稼働した飛島の物流センターが満杯になると見もの。採算に乗るのは1年先といわれるが、今、来期の仕込みがモノをいう。40年円高、リーマンショック後5年と逆の動きになるためだ。前期末、連結1株当たり純資産684円。2Q以降増収増益が固まれば水準訂正。来年から3、4年追い風になる見込みだ。11月から所在不明の株主延べ270人、3万株の売却に向けて具体的な手続きに入る。

 

 

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