成長分野に受注シフト
郵政上場、マイナンバー制度も
福島印刷(7870)は胸突き八丁。前期2Qから締まり同3、4Q予想以上。今期減益を見込んでいるが、来期以降期待をもてる。前期の受注が成長分野IPDP(事務通知)11億4400万円(24.6%増)、DMDP(販促)サービス30億2100万円(9.1%増)に一段とシフト。来秋にも日本郵政上場、2016年1月から「マイナンバー制度」(社会保障・税番号制度)がスタートするためだ。同社の取引先が北陸をはじめ三大都市圏に広がり、官公庁や有力企業が多いだけに、実現すれば記録的なフル稼働が見込まれる。前回述べたように、2012~13年度版3兆7600億円(02年度7兆6000億円)といわれる印刷業界の市場。この先息を吹き返すとみられ、同社も上場28社の一角。IPDPとDMDPサービスは顧客データをはじ個人情報管理が厳しいため、凸版印刷(7911)や大日本印刷(7912)、共同印刷(7914)など大手数社と競合する程度。圧着式はがき印刷でも独自の地歩を築いており、天与のビジネスチャンス。今期の設備投資8億4500万円(前期2億7300万円)は、06年立ち上げた第2工場棟(DPサービスの拠点)以来高水準。高速インクジェットプリンターが目玉になっている。4部門とも自主性を尊重し慎重な計画を策定。このため、上振れに意欲。モチベーションが高い。よく異端といわれるが、取引先と一緒に「取引先の取引先」を考え、自分たちの意見を卒直にいうところ。営業から出荷まで全工程のプロセス、情報セキュリティを品質保証。独自技術により製品とサービスに「ならでは」の付加価値をつけた。前期の営業利益率5.6%である。
2015年8月期(非連結)は、売上高60億円(1%増)、営業利益2億1100万円(37%減)、経常利益2億8000万円(同)。純益1億2300万円(同)の見通し。前期1円増配(期末6円)したが、10円配当(中間5円)に戻す予定。6~8月駆け込みの反動が見られ1、2Q踏ん張りどころ。3Q需要期だけに期待がかかる。12月に消費税追加引き上げが「適切に判断」(安倍首相)されると、来年書き出しで述べた郵政上場とマイナンバー制度に現実味。とくに後者は2013年5月24日の通常国会で関連4法案が成立し導入決定。国民全員に新しく割り振る番号により所得、納税実績、社会保障に関する個人情報を一括管理する旨15年10月に通知され翌16年1月スタート。全国レベルで特需が発生する見込み。前回述べたように、今年後半から上昇運。下畠社長(59)も同運で3年続くだけに大化けも考えられる。時価総額22億円に過ぎず、大幅な水準訂正(1株当たり純資産640円)が予想される。