従業員の質が高い 田中精密 9月18日 (2014.09.17)
6月から新体制稼働
世界5極体制の仕込み急ピッチ
田中精密工業(7218・JQ)は端境期。今、来期世界5極体制の仕込み急ピッチ、6月から新体制が稼働した。総合力を活かし新しい価値を創造するためで、2017年3月期を目安に第13次中期計画(18~20年3月期)を通じて答えが出る見込み。既存技術を掘り下げ、新製品・新事業を促し、真のグローバル化に取り組むのが狙い。順調にいくと、18年3月期(創業70周年)から様変わり。80、90周年を視野に100年企業のインフラづくり。長岡社長(63)中心にベストメンバーで戦う構えだ。本社、水橋、婦中製造部の集約が前期完了し、4棟で構成する入善工場も12月に1棟体制。一連の国内生産見直しに伴う余剰人員・設備を今後需要増が見込まれる海外の支援業務に再配置。自社の生産技術を高めるほか、取引先拡大を後押しする運び。1Q連結14%減収、64%営業減益と冴えないものの心配ない。主力商品VTECロッカーアームASSYのほか、高性能シンクロナイザーリング、同スプリング、シンクロセットなど自社開発の新製品が貢献。ホンダをはじめ他社も関心を寄せている模様。数年で技術開発部が倍になりスピードアップ。10年先をテーマに自動車部品、その他の研究に打ち込んでいるという。米国の現法設立1994年、タイが同96年だけにインドとベトナムも10年スパンのプロジェクト。半世紀で上場に漕ぎつけ10年余り、今期から世界5極体制の仕込み本格化。リーマンショック後、ホンダと同社幹部に信頼された従業員のモチベーションがどんなものか伝わってきた。取り組んだらやり遂げるのが本懐。日本で最初に工業団地をつくり、モノにした創業者の遺訓を受け継いでいる。
2015年3月期(連結)は、売上高474億円(8%減)、営業利益25億円(44%増)、経常利益23億円(48%増)、純益6億5000万円(3倍)の見通し。配当16円(中間8円)を据え置く予定。設備投資83億4500万円(前期52億9000万円)の計画。2014、15年調整運で仕込みに打ってつけ。ホンダが今年後半から上昇運でタイムリーな印象。足もと厳しいがいいポジションにつけた。1Qホンダが上方修正し、2Q一段と円安に触れ追い風とみられる。人材育成が最大の課題というが、前期末単体813人、連結2507人の規模。従業員の質が高いだけに化ける公算大。今、来期の仕込みにかかっている。