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企業レポート

JSRと共鳴  医学生物  8月20日 (2014.08.19)

今、来期V字型回復 

自己免疫疾患から遺伝子試薬

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医学生物学研究所(4557・JQ)は1、2Q底入れ。3、4Q反転の見込み。今、来期V字型回復になりそうだ。昨年3月JSR(4185)と資本業務提携し1年5ヵ月。事業再構築・先行投資に追われる一方、試薬単価切り下げ・仕入れ単価上昇・新製品投入持ち越しなど前期連結初の営業赤字5億1900万円計上。1Q赤字拡大の印象だが、前期末7億9600万円(20%増)の在庫が減少。2Q収支トントンの見通し。今期は診療前検査を可能にした全国30台のステイシア(全自動臨床検査システム)がフル稼働。主力の自己免疫疾患検査薬が持ち直す。このほか、多発性筋炎や皮膚筋炎で新規検査試薬を発売した「メサカップ」シリーズ、子宮頸がん関連試薬、男性不妊研究用試薬など新製品が寄与。JSR向け第三者割当で調達した約45億円の支出予定が来年3月までのため3、4Qスピードアップ。反転の追い風になりそうだ。6月24日の総会。質問が三つ出たという。業績悪化よりJSRとの前向きな話で持ち切り。ともに創薬支援試薬や診断薬事業が国内、米国、中国で共通しスケールアップが見込まれる。直近3期目立つのが、40年以上主力だった自己免疫疾患検査試薬が遺伝子検査試薬に取って代わられつつあること。前期22億2700万円(単体)に対し3億1500万円だが、2期前24億1000万円(同)に対し2億4300万円。構造変化に直面している。今期以降、遺伝子検査試薬が追いつき追い越す見通し。がんの薬物治療の場合、がん細胞の遺伝子を検査し、どこに異常があるか突き止め、その働きを妨げることで増殖を食い止めることができる。従来抗がん剤ごと必要だった検査が一度、検査の時間も数日で済むため患者の負担が減る。最適な治療薬を選ぶ上でコンパニオン診断薬と呼ばれる。この点、大腸がん治療薬に対し、抗EGFR抗体薬の投薬前検査に有用なRAS遺伝子変異を検出する試薬を同社と子会社が開発に成功。6月19日発表している。

2015年3月期(連結)は、売上高78億5400万円(9.5%増)、営業利益1億7200万円、経常利益1億4500万円、純益1億2700万円に浮上。期末配当4円を据え置く予定。営業損益で6億9100万円改善を見込んでいる。M&Aや先行投資、償却負担増が続くものの、持ち越した新製品の貢献が大きいという。前回述べた青梅市(東京)の新組織科学研究所が異色。非臨床分野で40年のデーターを持ち人材もいるだけに、自動化すると付加価値も上がる。1979年以来、伊那研究所の大改修も見もの。自己免疫疾患検査試薬で国内シェア80%以上といわれた時代から遺伝子検査試薬に移行する過渡期を物語るもの。グループ子会社10社の連結経営がJSRのメディカル材料事業と共鳴し始めた。来年3月にかけて次の幕が上がる。スケールアップも見ものだ。

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