モノづくり改革が主因
仕込み次第で企業価値倍以上
シロキ工業(7243)は予想以上。国内のほかタイを除けば海外も続伸。1Q締まっている。開発、拡販、原価改善など一連モノづくり改革が主因。国内が駆け込み受注残の消化に追われ、米国、中国、東南アジアなど受注増が見込まれる。PSV(適地適量)と呼ばれる新ライン投入が手掛かり。投資が従来の4分の1程度。省スペース、低コストを実現するもので、主力のシート部品に次ぎドアフレームにも採用予定。手作業から省力・自動化を進め、国内700億円体制(前期808億円)の突破口。需要変動の多い海外でも機動的に対応できるのが強みだ。一方、トヨタから「TNGA推進優秀賞」を受賞したロック内臓シートトラック、小径リクライニングが現場で高い評価。後者は一般財団法人の素形材センターから会長賞も受賞した。いずれも「シロキビジョン2021」(中期計画)に盛り込んだ製品開発、拡販活動の一環。最高益を計上した11年3月期から国内の損益分岐点を800億円から700億円に再構築。前期3Qまで赤字だけに今、来期正念場。ものにすると、50%(前期33%)を目指す海外売上高の伸びに跳ね返りそうだ。5月12日、インドにプレス部品新工場建設を発表したが、テクニコとの合弁事業を見直し、出資比率を27%から50%以上に引き上げるもので強いメッセージ。マルチ・スズキに対抗する構え。33億円(2016年3月期)の計画だが、30年振り単独で過半数を占めたモディ政権の受けがいいだけに追い風とみられる。このほか、昨年立ち上げたインドネシア工場よし。今年タイ工場を抜く見込み。米国の採算が改善し、中国も思ったほど落ち込まず現地資本と取引拡大。トヨタグループ向けが6割以上だが、前期GMから受注し、フォード、クライスラー、ワーゲンなどから引き合い。鉄からアルミ製品に切り換えた最新のドアサッシが安全性、燃費改善に貢献。材料置き換え技術で世界トップレベルといわれる。
2015年3月期(連結)は、売上高1210億円(3%増)、営業利益27億円(同)、経常利益24億円(26%減)、純益16億円(21%減)の見通し。配当5円(中間2円)を据え置く予定。設備投資62億円(前期53億円)の計画。生産準備が大半で国内25億円という。2016年(70周年)にかけて次世代の仕込み。14、15年調整運に相当しタイムリーだ。松井社長(58)が今年から上昇運で期待をもてる。時価総額182億円に対し連結純資産403億円。今、来期仕込み次第で企業価値が倍以上になる。それには、国内既存5工場に東北を加え700億円体制構築が不可欠。おのずと海外売上高50%に跳ね返り収益が大幅に好転する。