2Qから尻上がり 岡谷鋼機 1月1日 (2013.12.30)
海外拡大し国内も反転
3Q発表の日に首相が靖国参拝
岡谷鋼機(7485)は堅調。2Qから尻上がりだ。昨年12月26日3Qを発表し4Q追い込み。来期続伸の見通し。落ち込んでいた国内取引が反転し採算改善。期中、目標の30%を突破した海外取引と両輪で増収が見込まれるためだ。リーマンショックを吸収。直近3期の復元力に見どころ。海外取引が拡大する一方、昨年9月新池田(山形)をグループに迎え、今年9月子会社の岡谷薄板販売が同ミワ鋼材を吸収合併するなど国内小口取引にも注力。来期は鉄鋼をはじめ情報・電機、産業資材、生活産業すべてに連結増収の見込み。今期の計画によると、営業利益がリーマン前の90%、純益も88%に相当し高水準。当面、2011年度スタートした中期計画の売上高1兆円、純益100億円(16年2月期)が目安。事実上、8、9割掌中にした。日経平均1000円で75億円といわれる投資有価証券の含み益も支援材料。これまで20年以上逆回転に晒されたが、3Q(9~11月)に2000円上昇しざっと150億円(累計252億円)追加。新年1万8000万円、2万円ともいわれ、様々なビジネスチャンスに対応できる。震災復興を口火に今後五輪招致、リニア開業まで延べ14年内需拡大が見込まれ、名古屋駅スーパーターミナル構想も真新しい手掛かり。東西の大手商社と一線を画し、小回り利いた調達が見直されそうだ。11月、13代目の岡谷社長(69)が28代名古屋商工会議所会頭に就任。祖父の10代目惣助氏以来80年振りだが、旧知の三村明夫氏(73=新日鉄住金相談役)が同時に日本商工会議所会頭に就任。偶然とばかりいい切れない。戦後最大のイベントが視野に入り、前触れと考えられる。2019年(創業350年)が五輪の前年に当たり気になるところだ。最近注目されるのが、昨年11月「メッセナゴヤ2013」に出展された同社の環境・安全・モノづくり。中でも開発を進めている地中熱利用、小水力発電システム、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)が話題。このほか、マグネラップや透過型デジタルサイネージも関心を呼んだ。たとえば、HEMS関連。昨今の震災、各種災害、電力事情を受けてマンションディベロッパーやハウスメーカーが太陽光発電、蓄電池など創エネ・蓄エネを最大限ひき出すスマートマンション、スマートハウスに取り組んでいるのに対し「開発キット」を提案するもの。スマートホンでエネルギーをはじめホームセキュリティ、オートメーションを実現するハード、ソフトがお目見得した。来年3月名古屋中心部に完成予定の「ゼスタ鶴舞」(災害時自立型高級マンション・18戸)もこの一環。被災しても約1週間電気、水などライフラインを確保できるのが特徴。鉄鋼中心に情報・電機、産業資材、生活産業部門が縦横に連携している。
3Q連結累計は、4.7%増収、20.6%営業増益、21.5%経常増益、21.1%増益と予想以上。全部門営業増益な上、営業外収支の改善も貢献した。2014年2月期(連結)は、売上高7500億円(8.4%増)、営業利益140億円(22.8%増)、経常利益150億円(11.9%増)、純益90億円(3.1%増)と従来通り。配当25円(期末13円)を据え置く予定。設備投資29億円(前期28億円)の計画。4Q需要期で株高も考えられるが慎重。3Q発表した26日、首相の靖国参拝から産業界も緊迫した空気に包まれている。同社の場合、事業を通じて江戸時代から地域社会と交流があり、名古屋三大祭のひとつ若宮祭、本社周辺の清掃、募金活動、災害義援金、奨学団体支援、海外子会社の植樹など社会貢献でも知られる。2014年も社運続伸。上昇安定の年回り。1株当たり連結純資産2139円(13年2月期)、予想EPS186円から見ても割安。大幅な水準訂正が予想される。