2Q上方修正も 矢作建設 8月26日 (2013.08.23)
10、20年後様変わり
60年続いたオーナー経営から脱皮
矢作建設工業(1870)は復調。1Q連結55%増収の滑り出し。採算も大幅に改善している。着工増によるもので、受注高86億円(10%増)にも手ごたえ。7期ぶり増収増益の見通し。補正執行に伴う小中学校の耐震工事回復が口火。同工事の通期受注高160億円(46%増)の見込み。文科省の2015年度耐震化100%にかけて追い込みに入った。高校や大学、官公庁、民間企業など10、20年後本格的な普及が見込まれる。03年ピタコラム事業立ち上げから10年、前期まで全国延べ2500棟の実績が足掛かり。08年追随したウッドピタ事業も見どころ。前期15億円(48%増)受注し売上高28億円計上。今期から巡航速度というが、潜在需要1000万戸といわれ、ピタコラムに次ぐ10年スパンの成長市場。糊代が大きい。このほか、土木で法面補強のパンウオール事業が前期24億円(50%増)と高い伸び。コンクリート剥落に有効なウォールプロテクト工法も維持・補修に引き合い活発。官庁が盛り返しているのも特徴。さらに、前回述べた「ラグナヒルズ」(名古屋)や「バンベールフォン辰巳」(東京)などマンションが好調。前期引渡599戸の計画が663戸に倍増した。このため、今期292戸に落ち込む予想だが契約380戸(24%減)の計画で底堅い。インフレ、消費税引き上げを織り込んでおり、9月7日に2020年夏季五輪開催地が東京に決まると予想以上。そうでなくても、来年から3年上昇運だけにビジネスチャンス。昨年4月前社長急逝により60年続いたオーナー経営から脱皮したばかり。藤本社長(60)がトップセルースに変わりないが、社員と社長の距離が接近し、いい意味で変わったという。地元で大仕事が待っている。2027年開業予定のリニアに備え、名古屋駅前・近隣周辺再開発。同社の場合、名鉄が筆頭株主(18.6%)だけにJR東海、近鉄に対しそれなりのインフラが不可欠でスケールも大きい。10、20年後様変わりになりそうだ。
2014年3月期(連結)は、売上高700億円(5%増)、営業利益33億円(28%増)、経常利益29億円(36%増)、純益13億円(10%増)の見通し。1円復元し12円配当(中間6円)の予定。今のところ計画通りというが、2Q需要期だけに上方修正も考えられる。ピタコラム、ウッドピタも息の長い事業。今、来期の仕込みが10、20年後を左右する。オーナー経営脱皮がきっかけになりそうだ。