コロナ戦1回の表と裏 米ソ・米中冷戦に共通する裁定売り残 (2020.05.29)
4連騰。日経平均中陽線の引け。200日移動平均線2万1656円を上回った。後場全人代の香港国家安全法採択を吸収し、引けトランプ氏の制裁署名を打診買い。ダウ先物も続伸している。財務省の発表した対内株式投資754億円買い越し(5月17~23日)が手掛かり。コロナ後、外資が大幅に売り越した裁定残の買い戻しによるもので、踏み上げ。5月22日現在、売り残2兆5707億円に対し買い残4666億円にのぼり、さらに26日売りが4434万株減少し本格化に近い。昨年のピーク2兆0666億円(9月6日)を上回るほか、昭和天皇Xデーを巡る1988年12月限の最終決済も語り草。当時SQがなく売り残解消で3万円に乗せた上、1年後最高値3万8915円をつけた。ベルリンの壁崩壊(1989)と旧ソ連崩壊(1991)に伴う「平和の配当」が大義名分。異常な株高が目くらましだ。今回、米中冷戦がコロナ禍でがっぷり四つ。全人代最終日に香港が国家安全法に組み込まれ、中国の分裂や共産党政府転覆、内政干渉など禁止する内容で立法化。今夏成立を目指し9月に香港議会選の見通し。オフショア(海外)で人民元が1ドル7.1965元をつけ、昨年9月3日の過去最安値に並んだ。中国本土の資金が香港の株や金融商品にシフト。9月にかけて香港から欧米や日本にも流れるという。1ドル7.2元の攻防が焦点。2015年、突然の切り下げで世界の資産価格が急落したトラウマによるもの。正義が正しいと限らない。これからが、これまでを決めるという。米中対立に拍車がかかり、市場が人民元安に輪をかけて悲観的になっている。裁定売り残急増が米ソ・米中冷戦のピークに共通するためだ。時代の過渡期でコロナ禍に包まれ、公理や定理、常識など通用しないのも道理。元中日や旧横浜で活躍したプロ野球OBの権藤博氏(81)がいう。「人生の終わりを意識することなし。プロの監督はクビになって終わる。就任した瞬間に寿命が縮まる。人生も同じ。明日のことを考えず今日を生きる。それだけです。」すっきりした。日経平均先物によると、28日大証の引け2万2030円(+2.51%)に対し夜間取引1900円、シカゴ円建て同、ダウ先物も2万5660ドル(+0.50%)とこなれた。VIX恐怖指数28.14(+0.46%)、WTI原油先物32.62(-0.61%)、ビットコイン円988,237(-0.38%)然り。実体経済と乖離しているが、裁定売り残が圧倒している現状でどんな理屈も通用しない。ウォール街の解説によると、リーマン危機の際、雇用者数が直前のピークに回復するまで76ヵ月。1933年から平均31か月の2倍かかった。今回、一時解雇の40%が永久といわれ、景気回復もVやU、L字型より平方根の√(ルート)型。深く短い後退に打撃が大きく時間もかかるという。一方、FRBによる無制限の資産買い取りや超緩和政策が完全雇用まで続く見方もある。当面、黄金分割の目安2万2600円が上値の目安だ。
28日の日経平均497円高。大引け2万1916円。TOPIX1577(+27)、東証一部の出来高20億8700万株、売買代金3兆3800億円。値上がり1530(値下がり583)。10年債-0.005%変わらず。米10年債0.679%(-0.006)。上海総合2846(+0.33%)、香港ハンセン指数が23,118(-0.78%)で引けた。マザーズ指数の引け947.98(-0.80%)。頑強だ。値上がり率ランキングによると、関係分で■■(****)、■■■■(****)、■■■■(****)、■■■■(****)、■■■(****)、■■■(****)、■■■■■(****)、■■■■■■(****)、■■■■■(****)、■■■(****)、■■■■(****)など。コロナ戦1回の表と裏が終わったばかりという。(了凡)