証券ビュー

アンコール伊勢町

正確に時を刻む円高 中国経済は成長のための成長 (2011.10.27)

売り一巡後下げ渋り。膠着状態が続いている。明けても暮れても欧州信用不安、米国の景気減速、タイ洪水、円高など大半織り込み済み。踊り場を迎え乱高下の範疇。決め手に欠けるためだ。25日に円ドルが4日ぶり75円73銭をつけ高値を更新したが、財務相は「あらゆる措置を排除しない」の一点張り。FRBが11月追加緩和に踏み切ったところで、日銀も追随するとみられ、ものみな時間稼ぎの進行。26日に延期したEU首脳会議を前に、根回ししていた財務相理事会まで同日開催延期を表明し先送り。世界が欧州時間で回るようになった。連動する米国、日本も毒気を抜かれ薄商いのまま。決算発表を手がかりに個別の商いでお茶を濁している。25日述べたように、局面打開は円の高値更新が有力な材料。経済の力学が出口と次の入口を決める。政策の限界を意味するもので、それらしい犠牲なしに事態の進展を見込めない。すでに円ドル74~71円目前。これから1円刻みがこたえる。資金が回らず手を挙げたところが出口と考えられ、新月で闇夜にあたる27日に焦点をしぼってみた。■■■■■(****)が1万2510円で引け切り返し。決算発表後の安全運転。機関投資家は憶病な連中ばかりだ。臆病といえば中国経済。後場上海株が戻し日経平均も持ち直したが、中国経済はジャブジャブ刷った人民元で溺死寸前という。09年11月以降消費者物価指数が上昇しているためで、金融引き締めにより多くの中小企業が経営難、不動産市場の冷え込みも予想以上。紙屑同然のカネを大量に刷り続け、供給量を調整するのが中国のインフレ抑制という。需要と供給の関係を無視している。中国はずっと「好景気」だが、需要が供給を上回っているのでなく、06年当時から生産ないし供給過剰。年25%以上という固定資産投資により鉄鋼、セメント、自動車など基幹産業中心に深刻な状態。つまり、中国の経済成長は国民の消費拡大でなく、輸出と投資拡大により与えられたもので国民不在、政府主導。成長のための成長という。昨年11月2日発行された「中国経済週刊」によると、全人代副主任が「われわれはマネーサプライの急増により経済の急速な発展を推し進めてきた。その結果インフレがある」と発言。現在、その反動に戦々恐々。どの幹部も臆病になっているという。

日経平均は13円安。後場寄り後前日水準に戻し引け8748円。日電産社長の生産移管実施発言をきっかけにタイ洪水で売られた関連銘柄が買い戻された。出来高14億6000万株、売買代金9200億円。

■■■■■(****)が107円をつけ安値更新。油断できないところだ。11月1、2日のFOMCも時間稼ぎ。円ドル相場が比較的正確に時を刻んでいる。欧米に気を取られ、中国が留守になっていたが、前段で近況を紹介した通り。まともに機能していない。パックス・アメリカーナの次はチャイナという向きもあるが、中国は世界の工場。より正確には世界が中国を工場にしており、さまざまな企業が中国にやってきて生産拠点にしているだけ。中国が世界の工場になったわけではないという。中国のGDPのうち36%が輸出によるもの。個人消費は37%にとどまるという。外需依存型のうえ、供給過剰の反動も気がかりだが、問題先送りでは欧州より上。来年から新体制でなおさらだ。■■■(****)が1466円としっかり。26日は■■■(****)の決算発表が興味深い。(了凡)