まさかのトレンド定着 11日の相場が半年後を先取り (2011.08.12)
動転したまま。収まりそうにない。まさかのトレンドが定着した。パニックの初動とみられる米欧のジェットコースター相場。自分たちの不始末を棚に上げ、国レベルでしょい込んだ民間の不良債権。米国債格下げをきっかけに暴れ出した。どんどん返済期限がやってくるためで、米国はFRBの新券でしのいでいるが、欧州はECBとIMF頼み。しばりがきついため、各国で暴動が続発している。10日はフランス国債格下げが取り沙汰され、前年の財政赤字がGDP比イタリアを上回り、同公的債務残高もスペインより劣るとあってフランスの大手銀が暴落。シカゴ先物8800円となって日本に飛び火した。一口詫びを入れると雰囲気も変わるが、当初から傍若無人で迷惑千万。何事も勝ち負けで割り切ってきた経緯から、金先物やスイスフラン、円などより安全な資産しか眼中にないようだ。しかし、フランスからドイツ国債格下げまでいくと大詰め。2013年のネタといわれ穏やかでない。日本は柔道、剣道、茶道、華道など相手に勝つことを目的にしていない。人として道、生き方を学ぶのが筋。企業活動にもつながるものだ。たとえば、10日発表された政府の月例報告で景気の基調判断が2ヵ月ぶり上方修正され、6月の鉱工業生産3.9%増(前月比)、7~8月も2%台の伸び。一方、6月の機械受注統計は7.7%増と2ヵ月連続増加。復興需要が後押ししている。つまり、企業はリーマンショック、震災、円高にもめげず持ち場、持ち場で最善を尽くしはい上がってきた。今年4~6月決算発表が最たるもので、売り一巡から下げ渋っている。ちなみに、■■■■■■■(****)。震災後、面白い会社になってきた。08年4月就任した徳植社長(64)によるもの。岩手県の大船渡工場が6月22日からがれき処理を始め、セメント原料の3分の1以上リサイクル資源で回している。1400度の高温でつくるため、ほとんど塩素を分解し、製品の放射線量100ベクレル以下。セメント業界は1990年8630万トンをピークに昨年4160万トンに半減したが、今後復興特需が200万トン見込まれ回復基調。海外は米国、韓国、中国、ベトナム、フィリピン、パプアニューギニアに工場があり、ベトナムが一番大きい。国内6に対し海外11工場。廃棄物をリサイクルできるセメント工場は、これから資源循環型社会の中核になるという。まさかの下値を調べると125円、107円で二つあった。
日経平均は56円安。後場持ち直した。アジア株が反発し、GLOBEXも堅調なためで8981円の引け。出来高22億3700万株、売買代金1兆4300億円。内需関連とマザーズの一角が切り返している。日銀は円売り介入に失敗したが、ETFに買いの観測しきり。地道な対応に徹している。12日SQ(7月のSQ値1万0225円)が終わると、15、16日転機。米国債集中利払いに対し、中国の反発が予想されるためで、3月安値を切ったものが300以上あるだけに、月内もう一度揺り戻しがある。値上がりランキングを見ると、ゼネコンはじめ内需関連がずらり。立秋過ぎに来年の銘柄が顔を出した。■■■■■(****)からじっくり吟味するところ。下旬も予想以上に荒れる。日本の場合、60年続いた円高の最終場面。8月から米欧財政危機に煽られ陰の極にさしかかった。しかし、米欧が限界に達し、円高にも限界がやってくる。11日の相場が半年後を先取りした。(了凡)