「かへり見る空のひかりは夕雲雀」 羽公 (2017.03.24)
昭和の風林史(昭和五十年三月十九日掲載分)
小豆虚弱体質 軟弱場面続かん
手亡は大崩していったあと、大量の出来高を見るだろう。
その間、小豆は軟弱体質である。
「かへり見る空のひかりは夕雲雀 羽公」
手亡の相場が崩れている時に、
小豆だけ騰げていくということはない。
小豆と手亡とは、まったく違う豆であるが、
そこには比較観があり、サヤがある。
両者は違う豆であるけれど相関関係にある。
現物筋の相場巧者は
『小豆と手亡のサヤは五千円~六千円が普通になろう』
と将来を予測していた。
また、市場では、手亡が三千円下げたら、
小豆は三分の一の千円安という見方もある。
ともかく、癌症状悪化の手亡相場が、
健全なる小豆相場に〝精神的影響〟を与えているあいだは、
小豆相場にも期待は出来ない。
これから先の事を考えると次のように思う。
①手亡が水準を下げる。
②手亡の玉整理が大安値で行なわれる。
③九月限は逆ザヤ発会。
④大取り組みが減少しだす。商いもいずれ閑になる。
⑤小豆は軟弱体質。
⑥手亡安で市場は荒廃するから商い低調。
⑦結局、手亡八月限(今の先限)は、
その時点で一万一千五百円あたりに陥没したままになる。
それまでは小豆の相場はどうか。
手亡一万一千五百円の五千円ザヤなら
小豆の一万六千五百円だ。
小豆の取り組みが、
少しずつでも増えていくかどうか注目される。
小豆の取り組みが十万枚を越えてくれくれば
加速度をつけて人気化しだすか、
四月になっても、五月が来ても
取り組みが太らねば今年の相場は後半にずれ込もう。
小豆暴落の可能性はどうだろう。
現時点からの五、七百円安の値ごろ、
即ち六月限一万五千九百円前後。
七月限の一万六千円そこそこから割れへ。
八月限の一万六千二百円。
そういう値段はないといえなくなった。
いまケイ線的に小豆六月限が六千四百六十円、
一月六日の発会寄り付き値段を割って引けてしまうと
この相場は、安値低迷
いよいよ箸にも棒にもかからない時期を迎えよう。
ものごと、なににつけサイクルがある。
相場の人気の波も周波に乗っている。
小豆相場は先に行って大きく展開するとしても、
今月、来月中旬あたりまで軟弱体質だ。
●編集部註
相場師の必須条件、
ロジカルシンキングのお手本のような文章である。
【昭和五十年三月十八日小豆八月限一万七〇三〇円・三〇円高/東京一万七一一〇円・一〇円安】
昭和の風林史(昭和五十年三月十八日掲載分)
見切り千両!! 大取り組み崩壊
手亡相場は暴落していくだろう。両建ては愚策である。
反発の可能性はない。見切るところだ。
「ゆく春や屋根のうしろのはねつるべ 万太郎」
六〇㌔建て10円刻みといういまの穀物取引所を
一㌔一円刻みにしようという案が、
前にまとまりそうになった十㌔一円刻みのほうがよい
―という案を押しのけそうである。
この場合、一円動くと四千円替えの勘定だから、
なかなか柝が入らないという立ち会いの長引く事が
心配されている。
十㌔建て刻み一円の線で決まるのかと
思っていたがいろいろ立場があって、
この種の改革が難儀だ。
相場のほうは依然として手亡が冴えない。
ピービーンズの格差を
11月限から四千円にしようということから、
それなら十月限がピービーンズの捨て場になる。
従って九月限、十月限の手亡は
ピービーンズの重圧が加わり、
手亡相場は逆ザヤになる可能性さえ強い。
いま建っている七、八月限は天災期限月だが、
とりもなおさずピービーンズをヘッジされ、
相場としては、先に行くほど楽しみがなくなるのだ。
ピービーンズの格差虐待は、
手亡の買い方が言い出したことである。
結果的には自ら墓穴を掘ったことになった。
恐らく手亡相場は先限一万一千円台に崩れていくだろう。
いまの膨大な取り組みが相場の崩れに直面したならば、
これは連続のS安であろう。
S安に直面すると手亡は投げ玉がはまらない怖さがある。
手亡が、なぜ
あのような大きな取り組みにふくれあがったか?
といえば、他に理由はなにもない。
証拠金が安いから―だ。
単にそれだけのことで大衆が参加した。
証拠金が安いという事は、すぐに追い証がかかり、
すぐに証拠金が飛ぶことである。
いうなら安もの買いの銭失いの見本みたいなものである。
ガタガタとくる。大衆買いはグラグラと動揺する。
パラパラと投げてくる。あるいは両建てに走る。
両建てにしても
先に行っての楽しみがない相場であることが判らない。
いま手亡相場に言えることは見切り千両。
新規売り充分間に合う。
S安してからでは遅すぎる相場だが、
先限の一万三千円割れから売ってもまだ間に合うだろう。
●編集部註
得てして相場は仕掛けよりも仕切りが難しい。
取引判断は少ない事に越した事はなく、
二度仕切り判断が求められる両建ては、
相場巧者でない限りすべきではない。
【昭和五十年三月十七日小豆八月限
大阪一万七〇一〇円・一九〇円安/
東京一万七一二〇円・一七〇円安】
昭和の風林史(昭和五十年三月十七日掲載分)
手亡崩れ必至 癌症状悪化する
手亡は暴落含みだ。ピービーンズが癌になっている。
今から売っても充分に間に合う。
「春深し杉菜の果は水の中 竜男」
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「春更けて諸鳥啼くや雲の上」 普羅 (2017.03.21)
昭和の風林史(昭和五十年三月十四日掲載分)
手亡が悪役に 崩れれば小豆も
手亡の大取り組みが投げてくるようだと凄惨な市場になる。
小豆も影響を受けるだろう。
「春更けて諸鳥啼くや雲の上 普羅」
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昭和の風林史(昭和五十年三月十二日掲載分)
みわたせば西も東も霞むなり
君はかへらずまた春や来し(九条武子)
という感じの小豆、手亡だ。
「掘りすてて沈丁花とも知らざりし 久女」
11日の朝の朝日新聞三面『ひと』の欄に
東繊取の西田嘉兵衛理事長のお嬢さんが
写真入りで出ていた。
オックスフォード大学で文学博士の学位を得た
という明るいニュースで、
さぞかし西田理事長もお喜びだろうと思う。
ところで相場のほうは、
商いがもう少し出来てくれたらと、誰しも思う。
春眠暁を覚えず―という感じの相場だ。
中国の人は今の季節をうまいこと表現した。
「万葉千紅総是春」だとか「桃李争妍」。「春日遅遅」。
「登樓万里春」。「野花撩乱月朧明」などと。
「春宵一刻直千金」は蘇軾である。
日本でも菜の花や月は東に日は西に(蕪村)。
奈良七重七堂伽藍八重桜(芭蕉)。
のんびりしてしまっては相場も間が抜ける。
強そうに見えたところを買っても駄目である。
ガタガタときて悪く見えたところを売っても、
これまた駄目だ。
言うところの逆張り相場である。
10日に発表された暖候期予報で注目すべきところは
「六月後半から七月前半に低温」という個所と
「八月は前線が南下し局地的大雨の恐れ」。
「初秋の気温は低目で秋雨が多い」―等である。
この予報に敬意を表して小豆、手亡相場が買われたが、
知ったらしまい、あとが続かない。
取り組みの太い手亡はピービーンズ怖いで高値警戒。
本命中の本命と見られる小豆は取り組みがない。
しからば、どうすればよいのか。
のたりのたり春の海もいいけれど、
相場のたりのたりは困ったことだ。
値一ツ売れぬ日はなしの江戸の春。
小豆当限が小千丁も買われた背景には、
春の需要が進んでいることを物語る。
すそものは、すそもので売れ、
よいものは、よいものなりに売れてこそ
荷動き活発といえる。
定期のほうの人気が春眠をむさぼっているあいだに、
末端の現物事情は徐徐に好転している。
丸五商事の伊藤徳三さんは、三月、四月、
まだまだ小豆は相場にならないとおっしゃったが、
それでは困ってしまう。
なんとか激しい動きが欲しいものだ。
●編集部註
相場はいじわるなもので、
激しい動きが欲しいと思う時は来ないもの。
仮に来たとしても、
それはこちらが思ってもいなかった、
逆方向にむけての激しい動きであったりする。
【昭和五十年三月十一日小豆八月限
大阪一万七三七〇円・一二〇円安/
東京一万七四五〇円・一〇〇円安】