証券ビュー

森羅万象

一瀉千里 四、五月パニックあれば (2017.04.07)

昭和の風林史(昭和五十年四月三日掲載分)
将来を考える 十一月限から勝負
四、五月にパニックがあれば、
そのあとは一瀉千里一万円棒上げも可能な手亡の相場である。
「朧夜や時時はねる池の鯉 素香」
手亡相場は将来、大相場を展開するという、
線型判断から出た前提のもとに考えてみよう。
手亡は安いのだ―という断定した考え方がある片側には、
将来、大相場が展開するという考え方は当然存在する。
それが相場である。
いま最も簡単な判断材料は、
ピービーンズの供用格差が虐待されて
いまの二千五百円格差が
十一月限から四千円ということになれば、
確かに九月限、十月限はピーの渡し切りを嫌気されて
逆ザヤ低迷相場かもしれない。
しかし手亡の本年度作付け面積の大幅な減反という減少と
異常な気象が重なれば
ピービーンズ圧迫から解放された十一月限手亡は
ズンズン上昇するのだろう。
その時のピーの供用格差が四千円なのか
四千五百円になるかは今のところまだ判らないし、
ピービーンズの輸入価格が今より安くなっているか、
高くなっているかも判らないが。
十一月限が登場するのは六月である。六月は二日新ポ。
まだ遠い先のことのように思える。
相場過程から予想すると六月の新ポに
十一月限が建つまでに今の取り組みが総投げになる大安値、
それこそ七、八月限の
一万円台(ここからの二千円安)が出て市場荒涼、
まったくの大粛正相場が展開されようと予測するのが
売り方であろうが、
仮りにそのようなパニックがあれば、
いよいよ、その先は一瀉千里の一万円棒立ち相場さえ
可能な相場になろう。
売り型が考えているここからのパニック的崩れが
四月、五月に展開されたとすれば、
これは買い方投機家不運だったと言わねばなるまい。
相場する以上、投機家の常として、
好運、不運どちらかのカードを引かねばならない。
いまのところ手亡は底が入ったと見る。
そして市場の人気(クロウト筋)は総弱気で、
しかも下げの日柄が充分過ぎる経過を見てきている。
具体的に買っていく材料は見当たらないが、
なんらかの突発的巨大材料の出現なしとしないのが
相場の世界だ。
投機家は常にリスクを負担しているものである。
その事を自覚しておれば手亡の安値は買えよう。
●編集部註
 逆張りの発想である。 
鶏口牛後でちょうちんはつけないスタンス。
 そういえば、この年のこの頃に日本では
マツモトキヨシが株式会社になり、
米国ではマイクロソフトが設立されている。
【昭和五十年四月二日小豆九月限
大阪一万七三七〇円・一六〇円高/
東京一万七二九〇円・九〇円高】

「春雨や今日も酒飲む旅の宿」 飄亭 (2017.04.06)

昭和の風林史(昭和五十年四月二日掲載分)
鬼線出現手亡 将来の大相場暗示
手亡の線型は底入れし、
しかも将来の大相場を暗示している。
三川底破れの鬼線は買いだ。
「春雨や今日も酒飲む旅の宿 飄亭」
諸般の情勢から判断して怪
物のような大取り組みの手亡相場は、
大崩れもないかわり、強烈な上昇もない―
という一般的な見方を基本にして
今後を考えてみるとどうなるか。
手亡相場の七不思議の一ツであるこの大取り組みが、
さらに増大する可能性は残っている。
(証拠金のスライド制によって
取り組み増勢を制御する機能はあるが)。
手亡の取り組みが大きくなったままで、
相場が今の値ごろで小高下の続けると、
ますます取り組みは、ほぐれない。
取り組みがほぐれるには、
大暴落するか、大暴騰するかである。
それともう一ツ。
納会、納会の期限が来て玉が落ちるか。
先に手亡は二千六百円も崩れた。
過去の常識では、この大きな取り組みは、
ほどけるはずである。
S安五回分の下げ。しかも証拠金は安い。
高値で取り組んだ玉は
下げ途中で整理されたと見ることは、
その時の出来高で想像出来る。
しかし総取り組み高は逆に増大した。
新たな買い玉が入り、新規の売り玉もふえた。
あれだけ暴落してほどけず、
しかも安値でふえた取り組みが、
少々の下げでほどけるはずはなかろう。
そうすると、これは上に持っていかなければ、
大取り組みは解消するまい。
ここで注目されるのはケイ線である。
大きく下げたあと、
八月限27日の寄りで手亡は底入れを見せた。
ここまでの一連の日足線を
酒田秘線では〝放れ七手底〟という―と
米常の安田祥雲斉氏は言う。
筆者も、手亡相場の線型は
将来に大相場を暗示していると見る者である。
祥雲斉氏は、三月17日までの手亡線型を
〝三川底〟と見ていたが、
17日以後の千円下げを見て
『なにが三川底だ―と自嘲しているのです』
と、おっしゃるが、
三川底破れの行き過ぎは
未来の大相場を暗示していると筆者は思っている。酒田秘線〝放れの七手底〟にしても何年に一度しか出ない凄い線型であるし〝三川底破れ〟〝三山天井破れ〟の奇(鬼)線こそ大相場の前兆と言える。
手亡の安値は買い線だ。
●編集部註
罫線分析は必要条件であると思う。しかし絶対条件ではない。
古参曰く、昔小豆相場には「罫線殺し」という人種がおり、綺麗なシグナル場面に大金で逆張りを仕掛けるのだという。
【昭和五十年四月一日小豆九月限大阪一万七二一〇円/東京一万七二〇〇円】

大衆が勝つか 餌食にされるか (2017.04.05)

昭和の風林史(昭和五十年四月一日掲載分) 
大衆が勝つか 餌食にされるか
手亡相場の七不思議。
手亡の大取り組みの謎解きすれば
愚かな大衆の動員力という事になるが。
「たそがれや松に消えこむ春の雨 子規」 

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上下動大きな違い 悲喜こもごも (2017.04.04)

昭和の風林史(昭和五十年三月三十一日掲載分) 
手亡も底確認 小豆堅調地合い
いまの環境からいうと
ズンズン上昇する小豆、手亡ではなかろうが、
底入れしたという確証は掴める。
「牛部屋に牛のうなりや朧月 子規」
一万二千円を割って、もっと下がっていく
と見られた手亡相場が逆に反発したのだから、
上下動大きな違いで、これが市場心理に与える影響は大きい。
三月の20日の安値は綺麗な彼岸底。
そして27日安値は、おりから満月。
手亡の期近限月は20日に底を入れ、
期先限月は27日に底を打ったと見る。
さて三月も、きょう三十一日で終わる。
四月は今年に入って始めての一日新ポである。
一月は六日が新ポ、二月、三月は三日新ポでよく荒れた。
手亡八月限などストレートの二千六百円下げ。
ストップ幅で五回分。
この間に取り組みがグルグルと変化して、
なお大取り組みのままであるから大衆は恐ろしい。
この相場が四月にどのような展開をするだろうか。
先限引き継ぎ線で見るなら、およそ三千円下げ。
普通三分の一戻しが相場出直りの初期に見せる動きである。
線型としては、半値戻し、
即ち八月限の一万三千二百円があってもよい相場だが、
九月限が逆ザヤにうまれ、
一時的に人気を冷やす場面もあろうから
すぐに三千円台を奪回してからの上伸は難しいかもしれない。
一方小豆相場のほうは、なにがなんでも
彼岸に底入れせんがために20日朝寄りのストップ安だった。
壁に張ったケイ線を眺め、ここを買っておけば―と、
くやむ人が多いのだろう、
そのあたりのケイ線用紙が薄よごれている。
あれを売った人は、たまったものではない、
すでに小千丁の引かされ玉だ。
逆に脇田の阿竹専務のように、
きょうはこれ以下の値がないのだから、
ええいままよと百六十枚も買ったその日に
日計りの利食いとは、
本間宗久伝に書いてある海中に飛び込む思いの
人気の逆を行けである。
普通、このような強烈なショックを与えると
相場はそれを転機に足取りが軽くなるものだ。
つい春風にさそわれて―と鼻歌のひとつも出ようかと
いう陽気な相場なりそうであるが、
函館海洋気象台が三陸沖に暖水塊があるため
今夏は冷害はなさそう―とする予報は、
なんとなく強気する側にとっては気になる材料である。
●編集部註
 勝負、悲喜こもごも。 
勝負と言えば、この年の三月
「東洋人で俺に挑戦する者はいないか」という発言から、
モハメド・アリは翌年にアントニオ猪木と
東京で異種格闘技戦を行う事になる。
【昭和五十年三月二九日小豆八月限
大阪一万六九七〇円・七〇円高/
東京一万六九八〇円・三〇円高】

知ったら仕舞 総弱人気の裏も (2017.04.03)

昭和の風林史(昭和五十年三月二八日掲載分)
知ったら仕舞 総弱人気の裏も
手亡相場に賭けてみたいところだ。
相場は知ったらしまいである。存外反騰しそうな気配。
「行春をもの言いたげなる姿かな 子規」
相場金言に、知ったらしまい―という言葉がある。
手亡相場に、この言葉があてはまらないだろうかと思う。
手亡の一万二千円台は売っておけという安心感。
ピービーンズで叩かれ、
末は一万一千円台割れとの見方が支配しているだけに
人気の逆が出ないかと思う。
四月新ポ、九月限が登場するが、
恐らく逆ザヤであろうと見られる。
しかし相場は、九月限が逆ザヤで生まれて
人気が一段と軟化したあたりで底を打つのではなかろうか。
十六万枚から十七万枚の取り組みは
手亡相場史上かつてない大取り組みだ。
一枚の証拠金を五万円として十七万枚で八十五億円の取り組み高だ。
十七万枚を俵数にすると六百八十万俵である。
昨年の手亡の収穫が五十万俵。
繰り返し在庫六万俵にピービーンズを加えて、
そっくりそのままあると仮定して六十万俵か。
六百八十万俵の取り組みは現物の十倍という勘定になる。
だからどうだというわけのものでもなかろうが、
なぜ取り組みがこのように異常な太りかたをしたのだろうか。
証拠金が手ごろだからというだけでは、こうまでふくれまい。
小豆に比較して割安だという単純比較観もあるだろうし、
天候相場に勝負を賭けるという玉もあろう。
先限一代二千五百円の棒下げを見てきて、
取り組みは減らない。
もちろん玉は大きく入れ替わっているだろうが、
売り方にとっても、この安値でさらに売っていくのは、
やはり無気味なことであろう。
そこで、ピービーンズの占めるウェイトであろうが、
そういうことを言うのは素人だと言われるから、
あまり口にしたがらないが、ピービーンズは総取り組みの
一割にも満たない微々たるもので、
ここまで下げた相場なら、
もう、怖いものでもないと思われる。
日柄の面。人気の面。
そして値段の水準等を考えれば、手亡相場が
今までとは違った動きをしてもよい時分だ
と思わないだろうか。
知ったらしまい。
手亡は、いまこそ陰の極にきていると判断する。
総悲観人気の裏が出そうだ。
 ●編集部注
昭和五十年は統計の起点となる事が多い。
日銀のデータによると
昭和五十年の消費者物価指数を1とすると昨年は8強に。
つまり単純計算で当時五万円の証拠金は
現在の四十万円強に相当するという事になる。
【昭和五十年三月二七日小豆八月限
大阪一万六八四〇円・七〇円高/
東京一万六八二〇円・五〇円高】