昭和の風林史(昭和五十年四月十日掲載分)
大丈夫の買い 小豆、手亡ともに
手亡相場も小豆相場も自信をもって強気する。
底が入っているからだ。両方とも超大型相場だ。
「何処までも一本道や桃の中 たかし」
見ていると、
手亡相場は押したところ、押したところを売られている。
こういう相場は終局的に
大々的な積み上げ場面を迎えねば解決しないだろう。
大正金時が三万円、ささげが四万円という時代だ。
手亡も定期市場に上場していなければ
二万円や三万円が付いたかもしれない。
希少商品、幻の豆といった感じの運命を持つ手亡だと思う。
去年の乾繭相場のあの悪い時に、
一体誰が今の乾繭相場を予想しただろうか。
人気が野も山も一面を弱気に包み込んだ。
いまの手亡がそれだ。十人が十人とも弱気である。
そしてその弱気の気あらわれて三月末には
先限一万二千円割れという底値を叩いてきた。
しかし売り方は、
現在、もっと下の値を本気で考えている。
この現象は昭和46年小豆相場が
九月17日二万九百九十円を付けた時の
買い方の心理とよく似ている。
買い方は天井圏内の大波乱を、
さらに大上値指向と考えて
十月7日の二万一千三百六十円の大天井を思い切って買った。
四十八年七月13日の小豆天井の時も、それは同じで、
二万円抜け必至という総強気支配の市場であったが、
あれが天井だった。
現在の手亡の売り方の心理は
三月27日の一万二千円割れを大底とは見ていない。
そこにこの手亡相場の秘められた謎があるのだ。
売り方の顔ぶれが非常によいという事。
これも相場を大きくする要素だ。その事がいずれ判ろう。
来月は、早くも北海道は新穀相場である。
いま重要視されているピービーンズの問題よりも
産地の作付け面積と天井に大衆の関心が集まる。
そうなると相場は熱気に包まれ弾みがついてくる。
筆者は、いずれこの手亡が
大相場に発展していくと見ているが、
どこかで今買っている大衆が売りに回り、
売っている顔ぶれのよい筋が買い方に回る時がくるだろうと思う。
手亡は初押しである。買いしかない。
小豆も勿論大相場だ。
これは七月から九月にかけて規制、規制の
熱狂爆発相場の発展と見る。
安いところを仕込むとよい。
●編集部註
大相場は突然やって来る。
今はその準備と腹を括れば気が楽になる。
この年の4月、この週の日曜日に始まったクイズ番組
『パネルクイズアタック25』のように、
こつこつと確実にパネルをとらないと優勝は出来ない。
【昭和五十年四月九日小豆九月限
大阪一万七一六〇円・二一〇円安/東京一万七二六〇円・一三〇円安】
昭和の風林史(昭和五十年四月九日掲載分)
不安ない手亡 判りやすい小豆
いよいよ相場は判りやすくなってきた。
手亡の押し目買い。小豆もいまの値は買って大丈夫。
「朝の雨花は一重ぞ哀れなる 鳴雪」
反落した相場をどう見るか。
1)産地からの手亡売り
2)ピービーンズの輸入増勢と先に行っての圧迫懸念
3)急反騰の反動という要因によるものであるが
これで手亡相場が再び崩れ落ちて行く
と見るのは早計のようだ。
なぜなら1)相場的に完全な大底を構成
2)大きな取り組み3)活発な市場4)若い相場
5)天災期接近6)作付け減反の要因があるからだ。
相場が材料通り、理屈通りに動くものなら、
誰が相場で苦労する。
相場は理外の理である。
天井した相場は、なにがどうあれ基調は
底するまで軟弱なように、
ひとたび大底した相場は天井するまで
道中の起伏はあれど基調は上のものである。
市場の強弱を聞いていると、
まるで底なしに崩れて行くみたいだが、
それは一種の人気であり、弱気の希望である。
4日の大引けと7日の朝の寄り付きで
相場を出しきったと見る人もあろうが
目先的には、ひとつの筋かもしれないが、
新値五本目の踏み上げ線。
そして上げ幅の半値押しで下の窓を埋める。
出直り初期の相場は、
あけた空間窓は念入りに埋めるものだ。
仮に半値押しが三分の二押しになろうと、
いうなら初押しである。
初押し買うべし。これが相場の基本である。
新規買いと新規売り踏みと利食いで
久しぶり手亡相場はエキサイトしたが
この押し目は再び好買い場になると思う。
現物取り扱い業者や市場のクロウト筋(特に神戸筋など)
非常に弱い見方をしているが、
筆者は半値ないし三分の二押しで
再び反騰に転じる相場と見る。
従ってここは絶好の買い場だ。
次に小豆相場であるが、今年の気象は、やはり異常である。
各地の異常現象を、
いちいちとりあげていたら限りがないほどである。
開港以来始めて氷が張ったという漁港。
はまぐりが冷たい海水を避けて浜に寄ってきたとか―。
ともかくこの小豆相場の七、八、九月限は
サヤすべりということで用心されているが、
ただ事でない大相場展開の秘密を
内に持っているように思える。
いまの押し目は、なんの迷いも無用の買い場である。
●編集部註
初押し買うべし―。確かにこれは相場の基本だ。
あとは勇気の問題だ。実はこれが一番難しい。
恐らく〝利食いたい時は逆に乗せろ〟に通じる。
【昭和五十年四月八日小豆九月限
大阪一万七三七〇円・七〇円安/
東京一万七三九〇円・変わらず】
「水影ののぼるが如し水芭蕉」 枝幸 (2017.04.12)
昭和の風林史(昭和五十年四月七日掲載分)
買い線買い線 またまた買い線
手亡の売り方、バルカン戦線異常あり。
秘められた手亡の魔力発揮せん。大相場だ。
「水影ののぼるが如し水芭蕉 枝幸」
二連休前の四月四日の大引け手亡は
前日の陽線を抱き込んで目の醒める大陽線を立てた。
この線は踏み上げ線だ。
期近限月で千六百円弱。
先限で千百円強を突っ走った相場は、
仮りに今週押し目を入れるとしても、
あなどることの出来ない強いものを持っている。
底を打った相場はこれだから怖い。
筆者の言う、川底の砂に足の裏がとどいた相場だ。
線型で先限一万三千五百円あたり、
押し目を入れる場所である。
時に、三千五百円まで行かぬうちに
押してくるかもしれないが、
上のほうに行くだけ行って押すよりは
早い目に押しておくほうが相場のスケールは大きくなる。
新値で見る方法だと三月27日の大底から五本である。
相場のリズムは三、五、七、十二、十五である。
三手返し、五手返しという言葉もあるぐらいだ。
もとより、
押し目は強気で対処すべき相場になっている。
なぜかといえば、底が入った→出直った→
若い相場→深い取り組み→活発な市場であるからだ。
売り方も防戦するだろう。
このままV字返しで二千五百丁、
まともにはねられてはバルカン戦線異常あり。
場勘場勘で金庫が冷える。
六、七月限は高値から一気に半値ないし
半値強の戻しであるから、単なる売り込みの反動とか、
自律戻しなどというものではなく、
大直りの相場というべきだ。
Pが怖い時代から、Pがなんだいという市場の人気。
カードが裏返って、裏がおもてに、おもてが裏に
世の中さまざま、丸いたまごも切りようで四角。
さて、とりあえず上値の急所が、
どのあたりかといえば三千五百円。
七、八百円。四千五百円―となる。
買い線、買い線、また買い線という今の手亡である。
なぜか知らぬが大きい相場の様相を孕んでいる。
Pのヘッジ、輸入積極化、九月、十月Pの捨て場月等
軟派の言うべきことは皆折り込んだうえでの出直りだ。
手亡相場には、なにかがある。
秘められたソロモンの魔力とでもいうべきか。
ありきたりの常識的モノサシの
目盛りでは計れない手亡になった。
●編集部註
今も昔もこの頃甲子園で高校野球をやっている。
昭和五十年のセンバツ優勝は高知高校。
準優勝は東海大相模高校で監督は原貢。
この時の三塁手は息子の辰徳であった。
【昭和五十年四月五日・休場】
「菜の花の相模は伊豆の山青し」 五洲 (2017.04.11)
昭和の風林史(昭和五十年四月五日掲載分)
底値圏を脱出 人海戦術の威力
手亡が栄えて毛糸が枯れるという現象が顕著になってきた。
手亡の押し目買いが判りやすい。
「菜の花の相模は伊豆の山青し 五洲」
>>続きを読む
「行き行きてひらりと返す燕かな」子規 (2017.04.10)
昭和の風林史(昭和五十年四月四日掲載分)
踏み踏み相場 手亡のミステリー
手亡のミステリー。
一万三千円乗せからが本格的な相場展開。
四千円抜けもあろう。強気、強気。
「今朝越えた山見て休む日永哉 松舎」
>>続きを読む