証券ビュー

森羅万象

意地商い皆向かえ 放れを内に秘め (2017.04.28)

昭和の風林史(昭和五十年四月二三日掲載分)
時間の問題だ 手亡相場の崩壊
手亡の買い方は、まったく分のない戦いである。
徒労というべきか。キッカケ一ツで総崩れしよう。
「菜の花の野末に低し天王寺 子規」
手亡の期近限月は納会接近に伴って
仕手戦の様相を深めている。
しかし、この買い方の姿勢は、
誰の目にも大勢に逆らった、いわば意地買いとしか映らない。
相場金言に〝意地商い皆向かえ〟というのがある。
買い方にすれば
青葉しげる桜井の里のわたりの夕まぐれ、
木の下蔭に駒止めて世の行末をつくづくと、
しのぶ鎧の袖のへに散るは涙かはた露か
―の心境であろう。
須磨と明石の浦伝ひ敵の旗のみ打ち靡く、
吹く松風か白波か寄せくる浪か松風
か響き響きて聞ゆなり鼓の音に閧の声
―。
ピービーンズが十二㌦を割ったという事は、
手亡相場がここまで水準を下げても、
まだ輸入して(つなげば)儲かるわけで、
期近限月の陽動作戦で、
少しでも期先限月が戻せば、売って妙味がある。
いうなら盛りのよい売り場というわけだ。
ケイ線の姿からいうと売れないと言う。
しかし、この線型は、
放れ(垂れ込み)を内に秘めている。
きっかけ一ツで黒い糸がスーイと落ちてS安。
次の日、下放れての陰線引け。
大出来高という場面が予測出来る。
要は崩れのきっかけである。
ガップリと取り組んでしまっただけに、
かなりのショックを与えなければ、
ほどけないかもしれないが、
俵の重味と日柄で買い方力尽きるあたり、
今月の納会後でなかろうか。
大逆ザヤにして納会を受け、
仮りに高納会であったところで、
それは無駄な抵抗だし徒労である。
まして、各地の買い場は同病相憐れむ姿とはいえ、
トランプの婆を誰かに掴まして自分は逃げたい。
連合体の仕手は、
その運命として最後は抜け駆け、裏切りがつきものだ。
今の買い方陣営に
連合が出来ているのかどうか知らないが、
素人が高い現物を受けて、落ちゆく先は、
過去の手亡仕手戦で嫌というほど見てきた。
まして、持ち下げならぬピービーンズを抱いて、
金利、倉敷料を計算すれば、まったく分のない戦いである。
ここに来て小豆相場もしめりがち。
期先限月の一万六千八百円以下がありそうだ。
軽く売って取れそう。
●編集部註
 売れない相場は弱い。
 売るにも勇気がいる。
 ある売り方は、
鵯越逆落としの掛け軸を
かけて売り勝負に臨んだという。
【昭和五十年四月二二日小豆九月限大阪一万六九九〇円・一三〇円安/東京一万七〇〇〇円・一三〇円安】

「独活の香や雨夜小暗き流しもと」 五洲 (2017.04.27)

昭和の風林史(昭和五十年四月二二日掲載分)
下り最終列車 売って間に合う
手亡相場は、まだ売って間に合う終列車。
一万五百円あたり見え見えだ。小豆も軟化場面。
「うどの香や雨夜小暗き流しもと 五洲」
もともと悪い手亡相場が戻すから、
よけい悪くなって、下値の深さが思いやられる。

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「べたべたと田も菜の花も照り乱る」 秋桜子 (2017.04.26)

昭和の風林史(昭和五十年四月二一日掲載分) 
必殺の売り場 万歳突撃玉砕か
大衆筋が手亡を受けたら相場はよけい悪くなる。
いうところの万歳突撃玉砕戦法だ。必殺の売り場。
「べたべたと田も菜の花も照りみだる 秋桜子」
大衆店の手亡買い方が開き直った格好で

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黒い五月来る「魔坂」の相場 (2017.04.25)

昭和の風林史(昭和五十年四月十八日掲載分) 
黒い五月来る〝しらけ〟相場時代
小豆も駄目。手亡も駄目。黒い五月がやってくる。
まあ、のんびりいくしかないようだ。
「筍や八幡の薮の朝ぼらけ 虚子」
この一カ月、いろいろな事があって、
いろいろな面を見てきた。
そういう時に読んだから特にそう感じたのかもしれないが、
アラスカノポイントバローのフランク安田の書いた
新田次郎氏の〝アラスカ物語〟(新潮社)は
久しぶりに重量感のあるものだった。
いろいろな面を見て、人間のなまくささが、
どうにも耐えられない。
自分自身が、なまぐさい事をしていたからである。
武田商事の武田恒社長は俳句の俳の字は人に非ずと書く。
俳句に没入せよと言われた。
この一カ月〝明治俳壇理蔵資料〟を読みかえし、
萩野清氏の〝俳文学叢説〟の二冊を耽読した。
その結果、俳句はいよいよ遠いものになった。
筆者はこの原稿を書いて越中富山に行く。
名古屋の大同物産の富山支店が相場の講演会をする。
相場を真正面に捉えての講演会は、
なにかやはり自分自身勉強になる。
小豆相場も、
手亡相場も月末にかけて暗い地合いが予測される。
世間ではゴールデン・ウィークと呼ぶ四月末から
五月上旬の連休や飛び休は、相場のリズムが毎年崩れる。
穀物相場に関しては、黒い五月になりそうだ。
小豆の今月納会は三等小豆が圧迫する。
しかもその三等小豆の三割が古品らしい。
去年の五月も小豆相場は黒いシーズンだった。
強気してみて初めて判る相場の悪さ。
手亡も駄目。小豆も駄目。
納会は需要一巡で受け手難。
小豆は大暴落はないだろうが、
先限六千三、五百円の値段は仕方がない。
神戸の幸田商店の幸田孝治社長は言っていた。
『これからの相場は
弁当三、四食分持って待っているうちにしびれを切らし、
弁当取りに帰っているあいだに相場が出てしまう』。
まだ強気の大勢に入るのは一、二カ月早いという事。
誰も彼もがあきらめた時分がくるまで、
のんびりしていなければ投機のタイミングが狂う。
小豆が六千五百円を割ったら買う。
手亡は一万五、七百円に崩れ落ちたあとは少し反発して、
あと無相場。
白い豆が長い灰色に見えてきた。
●編集部註
 黄金週間は相場だけでなく
相場師のリズムを狂わせる。
上り坂や下り坂ではなく
「魔坂」の展開になる事が少なくない。
 昭和五十年五月の黄金週間明けの小豆相場は
「魔坂」の展開で始まる。
しかし「魔坂」の相場はこれだけでは終わらない。
【昭和五十年四月十七日小豆九月限
大阪一万七三一〇円・変わらず/
東京一万七三九〇円・一一〇円高】

「山寺の金箔くらし夕さくら」 飄亭 (2017.04.24)

昭和の風林史(昭和五十年四月十七日掲載分) 
小豆も弱気だ 納会にかけ低落
手亡は崩れ落ちる運命。小豆も今月納会は悪い。
黒い五月を前にして小豆軟化。手亡低落だ。
「山寺の金箔くらし夕さくら 飄亭」
気の付かれている人も多いと思うが、
小豆相場のケイ線が少しずつ変化している。
それは小豆相場が変化していると言ってよいだろう。
どう変化しているかというと、
天底は放れて寄った寄り付き値。
騰げ続けたあと夜放れして陰線引け。
これの見本は昨年七月26日の
一万九千八百四十円(大阪)夜放れ高の寄り付き
→陰線引けだ。
近いところでは四月七7日の七千七百円(大阪)の
夜放れ高寄り→陰線引けが戻り頭になっているし、
この逆が三月20日の
六千百八十円(大阪)夜放れ安寄り→強烈陽線引け。
この線が下げ相場の底をした。
少し前では二月6日の七千六百三十円夜放れ寄りからの
陰線引けが頭だし、
昨年十二月18日の六千十円夜放れ寄り
→陽線引け値が底をしている。
小豆ケイ線の天底が昔と違ってきているということは
小豆相場そのものが変化していることで、
これは、だいぶ前から言われているが、
本当なら、買い乗せていく急所が逆に買い玉利食い、
ドテン売り場になる。
反対に、本当なら売りあびせの叩き場が、
買い玉利食いの仕込み場になっている。
なぜ、こういうふうに変化しているのだろうか。
大きく見てもちあい相場だから。
小豆の取り組みが薄いからだ。
大衆不在。クロウトばかりの場だから、手が早い。
燃えない。冷静。上下とも値段に限界があるため。
いろいろ考えられるがやはり小豆相場は大衆不在。
クロウトばかりの相場になっているためだと思う。
真剣の勝負でも
芝居やテレビでやっているようなものでなく、
瞬間だという。
剣客と、そうでない人との闘いは自ら違うだろうし、
西部劇などに出てくるガン・マンの早打ちにしても
ガンのプロは抜く手も見せぬ一発である。
小豆相場も大衆が参加して熱狂している時と
プロばかりの相場とは、
やはり値の動きからして違ってくる。
大取り組みの手亡相場と、
動き方が違うところを味わってみたい。
小豆は安いだろう。時間がかかる。
手亡も弱いだろう。一万一千円を割る。
●編集部注
 相場の怖い所は
直近の相場パターンが必ずしも通用しないという点だ。
 決め打ちは火傷する。
【昭和五十年四月十六日小豆九月限
大阪一万七三一〇円・一〇円安
/東京一万七二八〇円・七〇円安】